タイトル | 特定のカンキツトリステザウイルス分離株に免疫性のキンカン |
---|---|
担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
吉田俊雄 中嶋直子 國賀 武 |
発行年度 | 2004 |
要約 | キンカンはカンキツトリステザウイルス(CTV)に感受性であるが、「ニンポウキンカン」、「マルキンカン」、「四倍体ニンポウキンカン」及び「ぷちまる」は弱毒系の2分離株(M12、M16A)に対して免疫性である。 |
キーワード | キンカン、カンキツトリステザウイルス、CTV、免疫性 |
背景・ねらい | キンカンはCTVに感染すると考えられていたが、キンカン品種「ぷちまる」(「ナガキンカン」×「四倍体ニンポウキンカン」)では弱毒株のM16Aの感染が認められなかった。そこで、「ぷちまる」のほか数種類のキンカンについて病原性の異なる数種類のCTV分離株を接種し、感染の有無を検定する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「ぷちまる」の2年生ラフレモン台CTVフリー苗3個体ずつに弱毒株のM15AとM16Aを接ぎ木接種し、ELISAにより感染の有無を検定した結果、M15Aについては検出されるが、M16Aは検出されない(表1)。 2. 「ぷちまる」の2か月生ラフレモン台CTVフリー苗を供試してシードリングイエローズ系強毒株(KY・OT、KS3A2、S5A)、ステムピッティング系強毒株(HS34、No.1595)及び弱毒株(HM55、M11、M12、M15A、M16A、M23A)をそれぞれ1~3個体ずつに接ぎ木接種し、感染の有無を検定した結果、M16Aのほかに弱毒株のM12も検出されない。弱毒株のM23A接種ではELISAの反応が弱く明確な判定は困難である。これらの個体の台木部では感染が確認されている(表2)。 3. 「ニンポウキンカン」、「マルキンカン」、ナガバキンカン2系統(84592、86212)、「二倍体マメキンカン」、「四倍体ニンポウキンカン」及び「早生キンカン」の11か月生の珠心胚実生苗を供試し、シードリングイエローズ系強毒株(S5A)、ステムピッティング系強毒株(HS34、No.1595)及び弱毒株(M12、M15A、M16A、M23A)をそれぞれ2~3個体ずつに接ぎ木接種し、感染の有無を検定した結果、ナガバキンカン2系統、「二倍体マメキンカン」及び「早生キンカン」の珠心胚実生では供試した7種類の分離株のいずれについても検出され、感染が認められる(表3)。 4. 「ニンポウキンカン」、「マルキンカン」及び「四倍体ニンポウキンカン」の珠心胚実生では、弱毒株のM12とM16Aは検出されないため感染が確認できず(表3)、これらのウイルス分離株に対して免疫性であると考えられる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 「四倍体ニンポウキンカン」は「ニンポウキンカン」の実生苗の中から選抜されたもので、有性胚実生か珠心胚実生か識別していない。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | きんかん 台木 接ぎ木 品種 レモン その他のかんきつ |