タイトル |
DNAマーカーを利用した自家和合性オウトウの効率的選抜 |
担当機関 |
山形県農業総合研究センター |
研究期間 |
2006~2010 |
研究担当者 |
丸川 崇
池田和生
石黒 亮
新野 清
西村幸一
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発行年度 |
2006 |
要約 |
自家和合性遺伝子S4'を持つオウトウ品種・系統を用いた組合せから得られた後代実生について、DNAマーカーを用いてS遺伝子型を判定することにより、播種当年で自家和合性を有する実生を効率的に選抜することができる。
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キーワード |
オウトウ、自家和合性、S遺伝子型、DNAマーカー
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背景・ねらい |
オウトウは自家不和合性を示し結実が不安定なため、気象条件や受粉樹の有無に左右されずに結実が安定する自家和合性優良品種の育成が大きな課題である。 このため、品質に優れた自家和合性品種の作出を目的に、花粉側の自家不和合遺伝子が変異した自家和合性遺伝子S4'を持つ品種・系統を用いた交雑を行い、これにより得られた後代実生について既存DNAマーカーを用いてS遺伝子型を判定することにより、自家和合性品種を効率的に育成、選抜する。
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成果の内容・特徴 |
- 自家和合性遺伝子S4'を持つオウトウ品種・系統を用いた組合せの後代実生について、未展開葉よりゲノムDNAを抽出し、プライマーセットPru-C2+PCE-R並びにMbS4F+emS4Rを用いたPCR(Yamane et al 2002,Ikeda et al 2004)を行うことによりS遺伝子型を判定することで、播種当年でS4'を持つ個体を選抜できる。また、本プライマーにより判定されたS4'を持つ個体はすべて自家和合性となり、表現型と一致した(図1、表1)。
- 判定個体数については、交雑の組合せから想定される理論値とほぼ一致する(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 今回選抜された、S4'のホモ接合体並びにS4'遺伝子を有する実生については、自家和合性品種育成の母本として活用できる。
- PCRの手法が掲載されている原著論文(参考とした文献)
- Yamane H, Tao R, Sugiura A, Hauck NR, Iezzoni AF (2001) Identification and characterization of S-RNases in tetraploid sour cherry (Prunus cerasus L.). J. Amer. Soc. Hort. Sci. 126:661-667
- Ikeda K, Watari A, Ushijima K, Yamane H, Hauck NR, Iezzoni AF, Tao R (2004) Molecular Markers for the Self-compatible S4'-haplotype, a Pollen-part Mutant in Sweet Cherry (Prunus avium L.). J. Amer. Soc. Hort. Sci.129:724-728
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
おうとう
自家和合性品種
受粉
DNAマーカー
播種
品種
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