同時期に開花したビワ幼果の耐寒性の品種間差異

タイトル 同時期に開花したビワ幼果の耐寒性の品種間差異
担当機関 長崎果樹試
研究期間 2001~2007
研究担当者 稗圃直史
福田伸二
寺井理治
富永由紀子
発行年度 2007
要約  ランダムプライマーOPH-01を用いたPCRにより増幅されるDNA断片はビワの果肉色と良く連鎖する。これをDNAマーカーとして利用することにより幼苗段階で交雑実生の果肉色を精度良く判別できる。
キーワード ビワ、幼果、耐寒性、品種間差異
背景・ねらい  ビワは幼果が寒害を受けやすく、生産が非常に不安定であるため、耐寒性は重要な育種目標の一つである。これまでに開花期が遅い品種ほど耐寒性が高いとされているが、それ以外の要因についてはほとんど知られていない。ビワの花は品種によっても異なるが多くは70~80花が集まって花房を形成する。開花期は花房内の花により、また、樹内の花房により差があるため、開花期間は非常に長い。そのため、開花期は品種によって異なるが、早い品種と遅い品種でもかなり重複している。そこで、同時期に開花した幼果を供試して耐寒性の品種間差異を明らかにするとともに、耐寒性に関連する要因について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 圃場に植栽されたビワ11品種について、樹冠外周の天空に露出した幼果の凍死果率を調査した結果、品種本来の耐寒性を表す、樹冠全体の果房における凍死果率(全果房凍死果率)と開花期とは高い負の相関が、また、開花期が同じ幼果の凍死果率(同時期開花凍死果率)とは高い正の相関がそれぞれ認められる(表1)。
  2. 全果房凍死果率を目的変数とする重回帰分析(変数増減法)では、7つの説明変数のうち開花終期と同時期開花凍死果率が選択され、幼果における耐寒性の品種間差異の90%以上を開花終期と同時期開花凍死果率によって説明可能である(表2)。
  3. 7品種における同時期開花凍死果率から耐寒性程度を比較すると、「シャンパン」の耐寒性は最も低く、「田中」と「ゴールドナゲット」は中程度の耐寒性を示す。「田中」に比べると「茂木」および「長崎早生」の耐寒性は同程度かやや高く、「瑞穂」および「津雲」はより高い(図1)。また、同時期開花凍死果率の2か年の相関係数は0.879(1%レベルで有意)と高い。
成果の活用面・留意点
  1. 耐寒性の高いビワ品種育成のための基礎資料として利用できる。
  2. 今回調査した凍死果率はいずれも樹冠外周の天空に露出した幼果についてのものであり、樹冠全体の幼果の凍死果率はこれよりも低くなると推察される。
  3. 幼果が凍死しなくても花(果)こうが凍結する場合があるので、今後の耐寒性育種では幼果とともに花(果)こうも高い耐寒性を有する個体を選抜する必要がある。
図表1 213224-1.gif
図表2 213224-2.gif
図表3 213224-3.gif
カテゴリ 育種 耐寒性 DNAマーカー びわ 品種

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