Metarhizium anisopliae FRM515株はチャバネアオカメムシおよびツヤアオカメムシに強い病原力を示す

タイトル Metarhizium anisopliae FRM515株はチャバネアオカメムシおよびツヤアオカメムシに強い病原力を示す
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2001~2008
研究担当者 栁沼勝彦
井原史雄
外山昌敏
三代浩二
発行年度 2008
要約  昆虫病原糸状菌、Metarhizium anisopliae FRM515株は、果樹を加害する主要なカメムシである、チャバネアオカメムシおよびツヤアオカメムシに対して強い病原力を示すが、クサギカメムシに対する病原力は弱い。
キーワード 果樹カメムシ、昆虫病原糸状菌、微生物防除、病原力
背景・ねらい
 樹カメムシ類は、果樹園外の針葉樹林等で発生し、成虫が果樹園に飛来して果実を吸汁加害することから難防除害虫とされている。カメムシの防除は、果樹園への飛来時期に定期的な薬剤散布で行われているが、近年の環境や食の安全・安心に対する意識の高まりとともに、化学農薬に頼らない防除技術の開発が求められている。そこで、微生物防除資材のひとつである昆虫病原糸状菌を用いた果樹カメムシ防除の可能性を検討するため、カメムシに対する昆虫病原糸状菌の病原力を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.昆虫病原糸状菌、Metarhizium anisopliae FRM515株のチャバネアオカメムシに対する病原力は、カメムシの死亡率を調べた711菌株中(Beauveria属290菌株、Metarhizium属339菌株、Paecilomyces属82菌株)で最も強い。
2.チャバネアオカメムシをM. anisopliae FRM515株の分生子懸濁液に浸漬する接種手法を用いた場合の半数致死濃度は6.0×104 分生子/mlであり、低濃度でカメムシを死に至らせることができる。
3.M. anisopliae FRM515株のツヤアオカメムシに対する病原力はチャバネアオカメムシと同程度に強く、1×108分生子/mlの分生子懸濁液を用いて接種したときの半数致死時間は、それぞれ4.4日と4.7日である(図1、表1)。
4.クサギカメムシに対する病原力は、チャバネアオカメムシやツヤアオカメムシに比べて顕著に弱く、同じ濃度の分生子懸濁液(1×108分生子/ml)を用いて接種しても半数致死時間は10.4日と他の2種カメムシに比べて、2倍以上の期間が必要である(図1、表1)。
成果の活用面・留意点
1.M. anisopliae FRM515株はチャバネアオカメムシやツヤアオカメムシの微生物防除素材として有望であるが、屋外での施用方法を検討する必要がある。
2.M. anisopliae FRM515株のクサギカメムシに対する病原力が低下する機構を明らかにすることは、昆虫病原糸状菌の宿主特異性に関する知見を得る手がかりとなる。
図表1 213246-1.gif
図表2 213246-2.gif
カテゴリ 病害虫 害虫 カメムシ 農薬 防除 薬剤

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