タイトル | 南西諸島のカンキツグリーニング病原細菌は2グループから構成される |
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担当機関 | 沖縄農研セ |
研究期間 | 2007~2008 |
研究担当者 |
冨村健太 古屋典子 宮田伸一 濱島朗子(鹿児島農総セ) 鳥越博明(鹿児島農総セ) 村山裕子(沖縄農研セ) 河野伸二(沖縄農研セ) 奥田充(九沖農研) 岩波徹 |
発行年度 | 2008 |
要約 | 南西諸島から採集したカンキツグリーニング病原細菌は、少なくとも2つの遺伝的グループによって構成されている。現在のところ、ゲノムにバクテリオファージ型DNAポリメラーゼ遺伝子領域を持つグループは宮古・八重山地域に分布し、沖縄本島以北では確認されない。 |
キーワード | カンキツグリーニング病、南西諸島、集団構成 |
背景・ねらい | 近年、南西諸島のカンキツ生産地において、カンキツグリーニング病による被害が広がっており、未発生地への分布拡大が危惧されている。本病原細菌の分布拡大防止に向けた対策を講じるためには、現時点におけるカンキツグリーニング病原細菌の集団構成を明らかにしておく必要がある。そこで、本病原細菌集団が既知遺伝子領域のゲノム構成の違いで区別できるかどうかを検討するとともに、その集団構成および地理的分布を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.カンキツグリーニング病原細菌(Candidatus Liberibacter asiaticus; Las)の既知遺伝子であるnusG-rplKオペロン領域(Hoy et al. 2001)およびバクテリオファージ型DNAポリメラーゼ遺伝子領域を増幅する2組のプライマーペアを用いてデュープレックスPCRを行うことでLas集団構成の解析が可能である(図1)。 2.南西諸島各地から分離されるカンキツグリーニング病原細菌の65分離株は、2本のDNA断片が増幅される株(グループI)および1本のDNA断片(nusG-rplKオペロン領域)のみが増幅される株(グループII)に大別される(図2)。 3.グループIに属する分離株は、鹿児島県および沖縄本島では確認されず、宮古島、伊良部島、多良間島および八重山諸島(波照間島、小浜島および与那国島)で確認される(図2)。グループの構成は南西諸島の島ごとで異なる。 4.グループIに属する9分離株は、バクテリオファージ型DNAポリメラーゼ遺伝子領域(約3.6kbp)の塩基配列が100%一致し、台湾に分布するグループIの分離株のそれとも100%一致していることから、比較的均一な集団を構成していることが推察される。 |
成果の活用面・留意点 | 1.グループIに属する分離株は現在のところ沖縄本島以北では確認されていないので、今後カンキツグリーニング病の発生生態を把握する上で重要な知見となる。 2.PCRにおける擬陽性反応を排除するため、ポジティブ(バクテリオファージ型DNAポリメラーゼ遺伝子領域を持つ分離株)およびネガティブコントロールを加えて供試菌株の検定を行うことが望ましい。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | その他のかんきつ |