タイトル | 受精卵クローン牛の相似性 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 | 1999~2001 |
研究担当者 |
角川博哉 坂口実 山田豊 山本直幸 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 同一の受精卵由来の黒毛和種の三つ子のクローン牛の発育成績は、通常の人工授精によって生産された子牛と同様な発育を示した。さらにその発育成績及び産肉成績ともに非常に揃っていることから、相似性が示唆された。 |
キーワード | クローン牛、核移植、黒毛和種、相似性 |
背景・ねらい | クローン胚移植は一卵性多子を生産できる技術として注目され、この技術が実用技術として応用できれば、遺伝的に同一能力を有した個体が多数生産でき、種々の比較試験や能力検定に利用することができ、ひいては優良種畜の安定的大量生産が可能となる。しかし、クローン胚移植による産子の哺育・育成、繁殖性・産肉性等の特性については、ほとんど明らかにされていない。さらに同一の受精卵由来の多子について、その相似性についても明らかではない。そこで、同一の受精卵由来の三つ子について、発育性および相似性を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 同一の受精卵由来の黒毛和種の三つ子(雄、その後去勢)について通常の管理下(1シーズンの放牧を含む)における発育成績を生後18ヶ月齢まで調査し、その後19ヶ月齢から肥育を開始し、26ヶ月齢で屠殺し、産肉成績を調査した。 2. 三つ子の22種のDNAマーカーを解析した結果、検出されたPCR産物の長さが一致した。 3. 体重、体高、体長、胸囲、管囲などの成績は、通常の人工授精で産まれた子牛と同様の成績を示した。さらにそれらの成績は比較的揃っており、大きな差はなかった。体重の推移については図1に示す。 4. 産肉成績については、表1に示した。3頭とも同じ等級に格付けされた(A-2)。また、枝肉形質についてもその成績は非常に類似している。3頭の枝肉断面を図2に示す。 5. 鼻紋については、その形状および小溝の走り方が非常に似ているが、小溝の走り方がわずかに異なっている。 6. 舌の黒斑については、その形や大きさなどが非常に似ているが、黒斑の位置や形がわずかながら異なっている。 7. 以上の結果から本試験において受精卵クローン牛の三つ子は相似性が示唆された。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本試験は1例のみの成績であることから、一般に受精卵クローン牛が相似性があると断定する事はできない。 2. 同一の受精卵由来の多子は、種々の比較試験への利用が期待できる。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | DNAマーカー 繁殖性改善 |