雑草による線虫対抗植物の効果阻害

タイトル 雑草による線虫対抗植物の効果阻害
担当機関 (独)農業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2001~2004
研究担当者 石川枝津子
竹中重仁
奈良部孝
発行年度 2002
要約 畑雑草の多くはキタネグサレセンチュウの好適寄主であるため、対抗植物栽培時の雑草は線虫密度の低減効果を阻害する。すき込み後も線虫密度が減少するマリーゴールドに比べ、殺線虫作用が劣る野生エンバクでは雑草対策効果が大きい。
キーワード 雑草、ネグサレセンチュウ、対抗植物、野生エンバク、マリーゴールド
背景・ねらい 有害線虫の密度低減効果と緑肥効果とを併せ持つ対抗植物は、化学農薬の使用を代替し有機物を補給するものとして、利用が伸びている。しかし、対抗植物の有害線虫に対する効果は、栽培条件等によって差異が認められるため、安定した高い効果を発揮できる栽培管理技術が求められている。そこで、対抗植物効果の阻害要因の一つと考えられる雑草の影響を解明し、雑草防除によって対抗植物の効果を向上させる。
成果の内容・特徴
  1. 北海道の主要畑雑草の多くは、キタネグサレセンチュウの好適寄主であるマメ科緑肥植物と同程度に線虫密度を増加させる(図1)。
  2. キタネグサレセンチュウの対抗植物である野生エンバクとアフリカンマリーゴールドのそれぞれ約60日、約110日間の栽培により、線虫密度は大きく減少する。野生エンバク栽培において雑草対策(播種量を17.5kg/10aに増加し被覆度を高め、MCPAナトリウム塩液剤300g/10a処理)を行うと雑草個体数は大きく減少し(図2)、慣行栽培(播種量12.5kg/10aで除草剤なし)と比較し、線虫密度の低減効果が向上する(図3a)。
  3. 野生エンバクの栽培・すき込みに引き続き夏まきダイコン栽培を行うと、すき込みおよびダイコン栽培に伴う線虫密度の変化はほとんどない。ダイコン被害度は雑草対策区で慣行栽培区より低くなる。雑草対策区では、線虫高密度圃場(土壌20gあたり100頭前後)においても、ダイコン収穫後の線虫密度が根菜類の要防除水準以下になり、次作の根菜類栽培における線虫被害が回避できる(表1)。
  4. マリーゴールド直播栽培において、播種後の除草剤処理(リニュロン水和剤150g/10a)および7月までカルチ除草数回を行う慣行栽培区と、さらにその後に手取り除草を加えた雑草対策区を比較すると、栽培後の線虫密度に差異が認められるが(図3b)、マリーゴールドにはすき込みによる殺線虫効果があるため、すき込み後の線虫密度に差異はなくなる(表1)。しかし、無除草では初期生育が確保できず、線虫密度の低減効果は著しく劣る。
成果の活用面・留意点
  1. 対抗植物の効果の向上対策に活用できる。
  2. 野生エンバクの雑草対策に除草剤を利用したが、未登録であり後作ダイコンへの影響調査が必要であるため、被覆度を高める等の耕種的雑草防除の検討も必要である。
図表1 213343-1.gif
図表2 213343-2.gif
図表3 213343-3.gif
図表4 213343-4.gif
カテゴリ 病害虫 栽培技術 栽培条件 雑草 直播栽培 除草 除草剤 だいこん 農薬 播種 防除 マリーゴールド

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