タイトル |
もみがらを利用したいちご良質苗の採苗技術 |
担当機関 |
道南農試 |
研究期間 |
2002~2002 |
研究担当者 |
中住晴彦
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発行年度 |
2002 |
要約 |
露地採苗法より良質な苗を大量に生産でき、かつ、空間採苗法より導入コストが安い。「もみがら採苗法」は、ランナーを乾燥させたもみがら上に水平に伸長させ、かん水により斉一な発根を可能とする、新しい採苗法である。
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キーワード |
いちご、採苗法、もみがら
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背景・ねらい |
慣行の採苗法である露地採苗法は簡易な方法であり苗生産コストも低いが、苗質や採苗作業性および土壌病害感染等に大きな問題点があることが指摘され、改善が求められてきた。平成3年には「空間採苗法」(道南農試園芸科)が紹介され、無病苗が大量に得られる方法として注目されたが、導入コストや採苗後の遮光処理等の問題から道内ではほとんど普及しなかった。そこで、露地採苗法より良質な苗を大量に生産でき、空間採苗法より導入コストが安い新しい採苗法を実用化する。
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成果の内容・特徴 |
- もみがら採苗法は、乾燥したもみがら上にランナーを水平に伸長させて発根を抑制し、鉢上げ2週間前にかん水することにより全子苗を一斉に発根させることが可能な点が採苗手法上の特徴(新規性)である(図1)。
- 露地採苗法では、1次苗が過大となり活着も不良なため採苗しないのが一般的である。しかし、もみがら採苗法で採苗した1次苗はコンパクトで高次の苗との生育差が小さい(図2)ため採苗可能であることから、露地採苗法に比べて採苗本数が多い(表1)。
- もみがら採苗法では全子苗が同時に発根し、根長の揃いも良く、斉一な苗を採苗できる。そのため、最終的に揃いが良い定植時苗が育苗できる(表1)。
- 採苗圃に雑草が発生しないうえ、採苗作業も露地採苗法に比べて楽である。
- 本圃10a分の子苗生産コスト(ハウス等の減価償却費含む。品種「宝交早生」)は、もみがら採苗法が44,607円、空間採苗法が56,775円、露地採苗法が6,645円である。
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成果の活用面・留意点 |
- もみがら採苗法は露地採苗法より均一で良質な苗を生産できる採苗法である。
- 本成績は親株の春定植での結果であるが、秋定植にも応用可能である。
- 土壌病害の発生履歴があるハウスではもみがら採苗を行わない。また、もみがら採苗ハウスの周囲に土壌病害が発生している圃場等がある場合は、その土壌を採苗ハウスの中に持ち込まないよう注意する。
- 一度採苗に使用したもみがらは、再度採苗に使用しない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
いちご
乾燥
コスト
栽培技術
雑草
品種
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