消費者ニーズに対応した工房製ナチュラルチーズの産地ブランド形成

タイトル 消費者ニーズに対応した工房製ナチュラルチーズの産地ブランド形成
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2003~2007
研究担当者 若林勝史
天野哲郎
発行年度 2004
要約 消費者は工房製のナチュラルチーズに対し、大手メーカ製や輸入ものと比較して、おいしく安心であるというイメージを持ち、工房・地域の特長を活かした個性的な商品を期待している。個々の工房が個性を持った商品づくりを行うとともに、工房の連携により多様な製品を活かした販売促進活動や、おいしく安心できる製品を保証する仕組みを作ってくことが重要である。
キーワード チーズ工房、ナチュラルチーズ、消費者ニーズ、産地ブランド
背景・ねらい 放牧を利用した持続安定的な酪農の展開が見られる中で、近年北海道において展開が盛んな小規模のチーズ工房や農家工房による放牧牛乳の特性を活かしたナチュラルチーズの生産・販売が、酪農地域の活性化に寄与するものと期待される。そこで、工房製ナチュラルチーズに関する郵送アンケート調査(帯広市、札幌市、東京23区各500世帯について無作為抽出、回収率25.5%)の分析結果から消費者の意識・消費行動に違いを明らかにし、チーズ工房を核とした産地ブランド形成のあり方を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 消費者のイメージに基づき各種チーズのポジショニングを行うと、国産大手製ナチュラルチーズやプロセスチーズよりも嗜好品として認識され、他のいずれよりもおいしい・安心であると認識されている(図1)。また、今後の購入意向のある消費者は、ないものに比較して、工房製ナチュラルチーズは「おいしい・風味がよい」・「安心である」という印象を強く持ち、その傾向はヘビーユーザほど強いことから、おいしく安心できる製品を提供することが需要拡大のための基本的課題である(表1)。
  2. 今後の購入意向はあるが購入経験のない潜在的ユーザでは「便利・手軽である」、「身近に購入できる」というイメージが実際のユーザに比べて弱い傾向が見られ(表1)、顧客の拡大のためには、容易に購入できるための販売方法や情報提供のうえでの工夫が求められる。
  3. 工房製ナチュラルチーズに対する要望としては、「工房や地域で特徴的な風味のあるチーズ」が最も多い。また、今後の購入意向のある消費者では、ないものに比べて「放牧で育てた牛の牛乳で作ったチーズ」、「有機栽培飼料で育てた牛の牛乳で作ったチーズ」など特徴的な原材料乳を使ったチーズに対する要望が強く、ヘビーユーザでは回答率が50%を超え、潜在的な需要があることから(表2)、これらの原材料を用いることを含め、個々の工房による個性的な商品づくりの展開が求められる。
  4. 現状では個々の工房の製品の特性の違いや購入先・購入方法に関する情報提供など販売・広告方法の工夫に対する要望が多い(図2)。それぞれの工房が個性を持った商品づくりを行う一方で、地域内の工房が連携して商品の多様性を活かした販売促進活動を展開するとともに、おいしく安心な製品を保証する仕組みを構築して、産地ブランドを形成していくことが重要である。
成果の活用面・留意点  酪農地域に展開するチーズ工房等の製造・販売戦略を検討する際の基礎情報として活用できる。
図表1 213456-1.jpg
カテゴリ 有機栽培 需要拡大 乳牛

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