タイトル | 北海道米における用途別需要量の推計 |
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担当機関 | 動向解析研究室 |
研究期間 | 2005~2006 |
研究担当者 |
仁平恒夫 吉川好文 細山隆夫 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 北海道米の製品販売量に対する用途別の仕向け割合は、政府米を除くと業務用48%、家庭用39%、加工原材料用14%と推計される。業務用を中心とした「きらら397」「ななつぼし」などの大量ロットに基づく大口実需への仕向けが、業務用、加工原材料用途の割合を高めている。 |
キーワード | 北海道米、業務用米、加工原材料用途米 |
背景・ねらい | 北海道水田地帯はいわゆる準良食味米の生産地域として評価される場合が多く、米価も相対的に低い水準におかれている。そのなかで米政策改革大綱を受け、「売れる米作り」に向けた産地対応が課題となっている。そこで消費・実需ニーズを踏まえた安定的な米生産と産地形成を図るため、各種統計及び集荷団体等の調査に基づいて北海道米の用途別の仕向先・ルートを明らかにするとともにその需要量を推計し、今後の道産米の需要拡大に資する。 |
成果の内容・特徴 | 1.北海道米の流通経路・需要先(平成16年産) 1)うるち米の収穫量は579千tで、その仕向け先は大きい順から農協441千t、生産者直接販売32千t、農協以外集荷団体28千t、農家消費・無償譲渡14千tとなり、農協が全体の約76%を占める。このほか中間米・規格外等の篩(ふるい)下米55千tと減耗分9千tがあり、特に大量の中間米・規格外が流通していることが推定される。 2)農協取扱量441千tはホクレン396千tと農協等独自販売45千tに分けられ、このうちホクレンの実質販売量は政府米と転作にカウントされる加工用米を除く325千tで、特に「きらら397」がその過半を占める。この実質販売量を用途別にみると、業務用が174千tと最も多く、以下、家庭用118千t、加工原材料用33千tとなり、実需からの業務用、加工原材料用として需要が大きいのが特徴である。 2.北海道米に対する用途別(家庭用・業務用・加工原材料用)需要量 1)政府米を除く道産米の製品販売量495千tを用途別にみると、業務用236千t(48%)、家庭用191千t(39%)、加工原材料用68千t(14%)となる。家庭用191千tについてその約62%を占めるホクレン販売分118千tでみた場合、そのうちの約62%が道外に移出され、特に「きらら397」はその約81%が道外移出である。 2)業務用236千tについて同様にその74%を占めるホクレン販売分174千tでみた場合、その品種別取扱量は「きらら397」101千t、「ななつぼし」50千t、「ほしのゆめ」19千tとなる。北海道米の業務用としての主な大口実需には牛丼チェーン45千tをはじめとして、コンビニエンスストア(CVS)38千t、カレーチェーン5.5千t、回転寿司チェーン4千t等があり、そのほかに多数の小口実需82千tがある。特に「きらら397」は牛丼チェーンやCVSを中心とした大口かつ継続的な需要を背景に業務用米における高いシェアを維持している。 3)加工原材料用68千tには、加工適性の高い「大地の星」、「あきほ」に加え、「きらら397」、「ほしのゆめ」も仕向けられ、例えば無菌包装米飯には「きらら397」2千t、発芽玄米には「ほしのゆめ」10千t、冷凍米飯には「きらら397」7千t、「大地の星」4千tが使用されている。 4)準良食味米とされる北海道米は、業務用、加工原材料用としての需要が約60%を占め、なかでも大量ロットに基づく特定実需との結びつきを強めながらその需要が支えられている。需要拡大にはこれら大口実需をターゲットとした業務用、加工原材料用途向けの安定的な米生産と併せて、多数の小口実需のニーズ把握とそれに対応した品種毎の供給体制強化を図ることが重要となる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.実需ニーズを踏まえた北海道米の需要拡大、安定的米生産と産地形成のための基礎データとなる。 |
図表1 | |
カテゴリ | 加工 加工適性 需要拡大 水田 品種 良食味 |