タイトル | 大豆の生産履歴情報に対する消費者意識 |
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担当機関 | 農村システム研究室 |
研究期間 | 2002~2005 |
研究担当者 |
森嶋輝也 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 大豆の生産履歴に対する消費者の情報ニーズは多様であるが、『安全・安心』に関わる「病害虫の防除方法」には、複数の消費者グループで強いニーズがある。一方、生産性や品質の向上を目的とする項目については、どのグループでもニーズが少ない。 |
キーワード | ダイズ、生産履歴、消費者意識、情報ニーズ |
背景・ねらい | 近年、続発した無登録農薬問題や食品の偽装表示事件などを契機として、消費者の「食」に対する不信感が高まっており、その信頼回復を図るため、「生産履歴」を記録に残す取り組みが全国的に進められている。そのために情報を収集し蓄積すべき履歴の項目については、消費者の必要性を的確に把握した上で、彼らとのリスク・コミュニケーションにより、選択していくことが重要である。そこで「大豆」を対象に、その生産履歴の各項目に対する消費者の必要性の程度を判定する基準を策定し、項目選択時の合意形成に資することを目的とする。 |
成果の内容・特徴 | 1.生産履歴情報に対する意識の異なる消費者のニーズを明らかにするため、大豆への関心の程度がそれぞれ分かれることが想定される3つの消費者グループに対して同じアンケートを行い(表1)、その結果を比較したところ、大豆の生産履歴情報に関するニーズは、全体として基本的な想定通り(①トラスト会員48%>②来場者43%>③大学生37%)の順になった(図)。しかし、いくつかの項目では一部順序が入れ替わったり(4.病害虫防除剤=③66%>①55%>②53%)、グループ間で大きな差が見られる(5.肥料②65%>①44%>③32%)など、消費者の情報ニーズの多様性が明らかとなった。 2.消費者がその情報を必要としている程度(=『必要性』)をランク付けする基準として、異なるタイプのグループであるにもかかわらず意見が一致する程度(全て/過半数/少なくとも一つ)と、その情報の「必要水準」(統計的に有意/過半数/必要でない)を組み合わせた7段階区分を策定した(表2)。 3.χ2検定の結果、4.病害虫防除剤の使用状況,7.薬剤によらない防除方法,8.残留農薬濃度の3項目で、有意に必要とするグループが過半数を占め(A+)、最も『必要性』の程度が高いと判定された(表3)。次いで5.肥料の使用状況がA、6.除草剤の使用状況がB+、そして9.薬剤によらない除草方法がBとなったため、これらの項目についても情報を集めておいた方がよい。 4.1.土壌改良資材の使用状況,2.発生した損傷の種類と程度,3.乾燥方法の3項目については、何れのグループでもその必要性が有意に少なかった。これらは生産性と品質の向上につなげることを目的としてデータを収集している項目であるが、消費者への対応としてはなくてもよいと判断できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.食品メーカーなどの実需者も生産履歴情報の利用者なので、リスク管理者はそのニーズも把握しておく必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 病害虫 害虫 乾燥 くこ 除草 除草剤 大豆 土壌改良 農薬 病害虫防除 防除 薬剤 |