りんごわい性台木「JM台木」等の品種特性

タイトル りんごわい性台木「JM台木」等の品種特性
担当機関 北海道立中央農業試験場
研究期間 1998~2005
研究担当者 内田哲嗣
吉田昌幸
発行年度 2005
要約 本道のりんご主要品種に対する「JM台木」等の品種特性を調査した。「ハックナイン」には「JM1」「JM5」「JM7」「JM8」「ランセップ」「M.9」が、「つがる」には「JM7」「JM8」が、「さんさ」には「JM2」「JM7」「JM8」が有望である。
キーワード リンゴ、わい化、JM台木
背景・ねらい
挿し木繁殖可能で、わい化程度の異なる「JM台木」の登場で、農家が自分の経営に合わせて台木を選択することが容易にできるようになったため、道内で栽培されている品種に対する「JM台木」の特性を明らかにする必要がある。本試験では樹勢の異なる3品種(「ハックナイン」「つがる」「さんさ」)での特性評価を行った。また、樹勢が強い「ハックナイン」を栽培するには特にわい化度の強い台木が有効と考えられるため、「ランセップ」「セピランド」「M.9」「M.27」の利用を検討した。(表1)
成果の内容・特徴 1.「さんさ」は従来から「M.26」との不親和が指摘され、樹が大きくならず、収量性が低いことが問題とされている。本試験で供試した台木はいずれも収量性で「M.26E」に勝り、観察などからも親和性が良いと見られる。ただし、「JM1」は樹勢の弱い「さんさ」にはわい化性が強すぎると思われるため、「JM2」「JM7」「JM8」が有望である。なお、これらの台木は8年生で樹幅が当初設定した栽植距離(樹間2.0m)に達していることから、M.26台の栽植距離よりもやや広く植える必要がある。
2.「つがる」では「JM1」「JM2」の収量性が「M26E」と同等かやや少ないため、わい化性が「M.26E」と同等で、収量性が高い「JM7」「JM8」が有望である。栽植距離はM.26台と同程度でよいと考えられる。
3.「ハックナイン」では「JM1」「ランセップ」「M.9」は「M.26E」よりもややわい化し、収量性は同等か上回る。「JM7」「JM8」はわい化性は「M.26E」並みで、収量性は上回る。「JM5」は樹体が極めて小さくなり、収量性は「M.26E」を大きく上回る。「JM2」は樹がやや大きく、果実糖度が低い。「セピランド」は「M.26E」よりもわい化するが、収量がやや低い。「M.27」は樹体は極めて小さくなり、収量性は「M.26E」と同程度であるが、幼木期に4樹中2樹が枯死しており、耐寒性に不安がある。以上のことから「ハックナイン」で低樹高化を目的とする場合は「JM1」「JM5」「ランセップ」「M.9」が有望である。これらの栽植距離はM.26台よりやや狭くて良いと考えられる。また、「JM7」「JM8」は「M.26E」並のわい化性であるが、収量性が勝ることから早期多収なわい化栽培用台木として有望である。栽植距離はM.26台と同程度でよいと考えられる。

成果の活用面・留意点
1.台木選定の際の資料として活用できる。
2.「JM1」「JM5」「JM7」は高接ぎ病の原因となるACLSVに抵抗性ではないので、接ぎ木の際には無毒の母樹から穂木を採取する。
3.「リンゴわい性台木の利用試験」(昭和55年度 中央農試)で「M.9」の凍害多発が指摘されていることから、凍害を受けやすい地域でのM.9系台木、「M.9」「ランセップ」「セピランド」の利用は避ける。
4.本試験は樹齢9年生までの結果である。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
 「りんごわい性台木の品種特性」(指導参考)
図表1 213621-1.jpg
カテゴリ 経営管理 挿し木 耐寒性 台木 高接ぎ 接ぎ木 抵抗性 低樹高 凍害 繁殖性改善 品種 りんご わい化

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