タイトル | 乳牛のストレス評価指標の作成とストレス状態の判定 |
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担当機関 | 北海道立畜産試験場 |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
松井義貴 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 200頭以上の健康な乳牛の血液、尿および唾液のコルチゾール濃度を測定し、統計学的に標準値と標準偏差を算出する。また、温湿度指数が80を超える搾乳待機室に長時間拘束した際には、コルチゾール濃度が上昇し、生産性が低下する。 |
キーワード | 乳用牛、ストレス、尿、唾液、コルチゾール、温湿度指数 |
背景・ねらい | 乳牛の不適切な飼養管理によって生じるストレスは、生産性低下や疾病発生の一因と考えられている。そこで本研究では、血液、尿および唾液を用いて乳牛のストレス評価指標を作成するとともに、ストレスを受けていると思われる輸送時や暑熱時の搾乳待機室での長時間拘束による影響について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1.健康な乳牛の血漿、尿および唾液コルチゾールの濃度を測定し(200~212検体)、統計学的にコルチゾール濃度の標準値と標準偏差を算出する(表1)。 2.乳牛4頭に副腎皮質刺激ホルモンを投与し、実験的にストレス状態を再現すると、血漿、尿および唾液コルチゾール濃度は投与1~2時間後に最高値を示し(図1)、白血球数は投与3時間後に最高値を示す。 3.約6時間トラック輸送した乳牛4頭および手術のために診療所へ輸送した第四胃変位牛31頭のコルチゾール濃度は高い値を示す(表2)。 4.温湿度指数(THI)が76の夏日と81~87の真夏日に、搾乳待機室で乳牛4頭を約2.5時間拘束すると、真夏日のみコルチゾール濃度が高くなる傾向を示し(表2)、直腸温・皮膚温は上昇(約1℃)、呼吸数の増加(約10回/分)、乾物摂取量および乳量の低下(各 々8.9%、7.4%)が認められる。 5.搾乳待機室でのTHIと直腸温の関係を11農場で調査すると、これらには正の二次相関がある(図2)。また、THI82~83の場合、待機室に設置した送風機および細霧システムは、乳牛の皮膚温を1~3℃低下させる効果を示す。 |
成果の活用面・留意点 | 1.血漿(清)・尿コルチゾールの分析は臨床検査センターに依頼できる。 2.コルチゾール濃度は牛の興奮で上昇するので、血液は尾静脈から採取するのが望ましい。 3.THIが80を超える暑熱時には、体温・呼吸数をストレス指標として利用できる。 平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「乳牛のストレス評価指標の作成と飼養管理への応用」(指導参考) |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 飼育技術 乳牛 輸送 |