牧草サイレージ排汁の発生量と草地への施用

タイトル 牧草サイレージ排汁の発生量と草地への施用
担当機関 草地飼料科)
研究期間 2003~2005
研究担当者 山本裕介
伊藤憲治
出口健三郎
田村 忠
渡部 敢
発行年度 2005
要約 バンカーサイロの牧草サイレージ排汁は原料草水分67%~83%で0~162L/原料草t発生し、pHが低く、BODが高い。排汁は肥料効果があるが、接触障害やカリウムの施肥標準から、2番草への施用は原液で1t/10a程度が上限である。
キーワード バンカーサイロ、牧草サイレージ、排汁発生量、排汁成分、排汁施用量
背景・ねらい
コントラクターや大規模酪農家経営の増加に伴い、牧草サイレージ調製作業体系が大規模化しておりバンカーサイロから発生する排汁の量も増加傾向にある。2003~2005年に十勝農協連へ持ち込まれた1番草牧草サイレージの水分含量は平均74.6%であり、75~80%の高水分域のものが全体の40%以上を占める。排汁は汚濁物質と肥料成分を含むため適正な処理と草地への施用が必要であるが、国内での排汁に関する基礎知見が不足している。そこでチモシー主体草地1番草のサイレージ排汁の発生量と性状を把握し、収量や植生に影響を及ぼさない2番草への施用方法を明らかにする。

成果の内容・特徴 1.畜試サイロにおける排汁量(n=6)は原料草の水分含量が高いほど多く、83%のときに最大162L/原料草t発生し、67%では発生しない。畜試の測定値とよく一致した既往の推定式を用いると、排汁量は水分含量75,80,85%でそれぞれ20,90,200L/原料草t程度と推定される(図1)。また、 排汁は牧草収納後早期に多量に発生し、8~28日後までに全排汁量の50%に達する。
2.畜試サイロにおける排汁原液の成分は平均でpH;4.2、全窒素(TN);0.20%、リン酸(P2O5);0.13%、カリウム(K2O);0.58%、BOD;34000mg/Lであり、肥料成分や汚濁物質を多く含んでいる(表1)。 よって水系への流出がないよう適正な管理をして、草地へ施用することが望まれる。
3.全窒素、リン酸、カリウム濃度は電気伝導度(EC)との間に高い相関がみられ、ECによる簡易推定が可能である。TN;y=0.0159x-0.0387(R2=0.78)、リン酸;y=0.008x+0.0021(R2=0.71)、カリウム;y=0.0508x-0.1796(R2=0.85)。
4.1番草刈り取り後の排汁施用時に牧草再生量が多い場合、接触障害による減収や植生悪化が認められる。シロクローバは排汁施用による衰退が認められる(表2)。排汁施用によって、増収効果がみられる場合があるが、土壌中のカリウム含量は増加し、特に3t/10a以上の施用で顕著な蓄積が認められる(表2)。
5.1番草刈り取り後3日および1週後の施用では、乾物収量の低下はみられないが、2週後では低下傾向がみられる(表3)。
6.施肥標準等を勘案した暫定的な施用指針としては、サイレージ排汁の2番草への施用は原液(カリウム濃度0.6%)で1t/10a程度が上限であり1番草刈り取り後1週間以内が望ましい。

成果の活用面・留意点
1.本成績はチモシー主体草地に適用する。
2.スラリー・尿汚水の貯留槽にサイレージ排汁を混入しても良いが、有毒ガス(硫化水素)が発生する危険性があるので密閉された貯留槽・屋内貯留槽では混合しない。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「牧草サイレージ排汁の発生量と草地への施用」(指導参考)
図表1 213656-1.jpg
図表2 213656-2.jpg
カテゴリ 肥料 経営管理 コントラクター 施肥 大規模化 乳牛

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