タイトル | ジャガイモシストセンチュウと近縁種を識別する遺伝子診断法 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 | 2005~2007 |
研究担当者 |
伊藤賢治 串田篤彦 植原健人 奈良部孝 百田洋二 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 幼虫1頭からDNAを抽出し、rDNA-ITS領域をPCRで増幅後、制限酵素Alu IとHinfIで別々に切断した電気泳動像から、ジャガイモシストセンチュウと同属近縁の3種線虫を識別できる。 |
キーワード | ジャガイモシストセンチュウ、遺伝子診断、PCR-RFLP |
背景・ねらい | ジャガイモシストセンチュウは、植物防疫法により検疫対象として特に指定されているジャガイモ栽培上の重要害虫である。国内には同属の近縁種としてジャガイモに寄生しないタバコシストセンチュウ、ヨモギシストセンチュウが発生している。海外では、抵抗性品種を加害するジャガイモシロシストセンチュウが発生地域を拡大しており、国内への侵入が危惧されている。これら4種は、検疫や防除対策上、迅速で正確な診断が求められているが、形態観察による同定は困難であるため、正確な遺伝子診断法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1.2期幼虫1頭を、抽出緩衝液(50 mM KCl, 10 mM Tris-HCl pH8.0, 2.5 mM MgCl2, 0.45% NP40, 0.45% Tween 20, 0.01% ゼラチン, 60 μg/ml プロテイネースK)中で切断後、温度処理することにより鋳型DNAを調製できる(図1)。 2.rDNA-ITS領域を増幅するFerrisら(1993)のプライマー(5'-CGTAACAAGGTAGCTGTAG-3'および5'-TCCTCCGCTAAATGATATG-3')でPCR増幅(図1)を行うと、約1,000 bpの断片が得られる。増幅断片を制限酵素Alu IとHinf Iで別々に切断し、2%アガロースゲル電気泳動を行うと、泳動パターンで4種が明確に識別できる(図2)。それらの断片サイズを表1に示す。 3.国内のジャガイモシストセンチュウ発生地域から64地域個体群を調査したが、例外はなく他種と識別可能である。また、海外主要発生国のジャガイモシストセンチュウ及びジャガイモシロシストセンチュウの各10個体群とrDNA-ITS領域の比較を行ったが、本方法は適用可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1.国内に生息するジャガイモシストセンチュウと近縁種を識別する方法として使用できる。また、海外のジャガイモシストセンチュウ及びジャガイモシロシストセンチュウ個体群とも比較を行っているので輸入検疫の場面でも活用できる。 2.ジャガイモシストセンチュウにおいて制限酵素Alu I使用時に確認される381bpと362bpのバンドは、1本のバンドと認識されることが多い(図2)。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 温度処理 害虫 シロシストセンチュウ たばこ 抵抗性品種 ばれいしょ 防除 |