タイトル | 北海道耕地土壌の理化学性の長期的変化と現状の評価 |
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担当機関 | クリーン農業部 |
研究期間 | 1998~2005 |
研究担当者 |
志賀弘行 中本 洋 田丸浩幸 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 土壌環境基礎調査等の土壌実態調査による長期的データによれば、各地目とも心土がち密化しており、pHの低い地点が多い。水田ではリン酸の蓄積及びケイ酸の不足、普通畑では作土深の増加、全炭素・全窒素の減少、石灰・苦土・銅・亜鉛の不足及びカリの過剰が認められる。 |
キーワード | 土壌実態、土壌診断、施肥対応 上川農試・研究部・栽培環境科、道南農試・研究部・園芸環境科 |
背景・ねらい | 1959~2003年の間に実施された延べ約6000点の土壌実態調査データから、北海道の耕地土壌理化学性の長期的変化の方向及び道の土壌診断基準に照らした現状の評価を地目別に明らかにし、適正な土壌管理に役立てる。 |
成果の内容・特徴 | 1.水田:心土のち密度が基準値以上の地点が43%、pHが基準値未満の地点が54%を占める。(表1)。有効態リン酸は2000年には70年の2.5倍に増加し(図1)、94%の地点で基準値以上となっている。リン酸の施肥実態は過去30年間を通じて9~11kg/10aの水準で推移しており、土壌診断に基づく減肥が不十分と考えられる。可給態窒素は一旦減少したが、80年以降緩やかに増加している。可溶性亜鉛は2000年には73年の4割にまで減少し、普通畑の基準をあてはめると33%の地点が基準値未満である。可給態ケイ酸は91%の地点で基準値未満である。 2.普通畑:作土の深さは、トラクタやプラウの大型化を反映して2000年には70年の1.5倍、27cmに増加した。心土のち密度が基準値以上の地点が61%を占める。全炭素は2000年には70年の6割にまで減少し(図2)、全窒素も同様の傾向を示している。主な原因は耕起深の増加及び基盤整備による下層土の作土への混入等と考えられる。一方、可給態窒素に大きな変化はない。pHが基準値未満の地点が35%を占める。交換性塩基は85年以降いずれも減少しており、石灰については58%、苦土については32%の地点で基準値未満となっている。カリは依然70%の地点で基準値以上となっている。有効態リン酸は増加が95年以降頭打ちで、15%の地点が基準値未満である。可溶性銅及び亜鉛は約2割の地点で基準値未満となっている。 3.野菜畑:心土のち密度が基準値以上の地点が46%、pHが基準値未満の地点が52%を占める。カリは85年以降減少しているが、57%の地点が依然基準値以上である。易還元性マンガンは26%の地点で基準値未満となっている。 4.施肥対応基準と施肥実態から推定した全道における減肥可能量は、水田ではリン酸5,400t、カリ100t、普通畑の主要作物合計ではリン酸8,400t、カリ11,800tである。 |
成果の活用面・留意点 | 1.本成果は北海道全域の農耕地の理化学性の現況や動向を把握する上で有効である。ただし、個々の圃場の実態については個別の土壌診断によって対応する必要がある。 平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「北海道耕地土壌の理化学性の実態・変化とその対応(1959~2003年)」(指導参考) |
図表1 | ![]() |
カテゴリ | 水田 施肥 土壌環境 土壌診断 |