脳内接種によるBSE感染牛の臨床症状

タイトル 脳内接種によるBSE感染牛の臨床症状
担当機関 (独)動物衛生研究所プリオン病研究センター
研究期間 2004~2007
研究担当者 陰山聡一
甲田洋子
松井義貴
扇勉
二階堂聡
尾上貞雄
福田茂夫
発行年度 2006
要約 脳内接種法によりBSE感染牛を作出し、国内で初めてBSEの症状を確認した。姿勢・歩様の異常および音・視覚刺激反応を用いた検査は、BSE発症牛の生前診断法の1つとして利用できる。
キーワード 家畜、ウシ、衛生、BSE、プリオン
背景・ねらい 牛海綿状脳症(BSE)は、人の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病との関連が示唆されているなど公衆衛生上の大きな問題となっている。我が国ではこれまでに31例(平成18年12月現在)のBSE患畜が確認されているが、すべて死亡またはと殺後に診断されており、生前にBSEの発症を示す異常行動等は確認されていない。本研究は、BSE脳内接種牛を用い、BSEの臨床症状を解明し、その生前診断法について検討する。
成果の内容・特徴
  1. これまでに観察されなかったBSEを疑う臨床症状が、脳内接種18ヶ月以降に現れる(表2)。
  2. 臨床症状検査(表1)により以下の症状が見られる。
    1)姿勢・行動の変化では、頭部を下げる姿勢(図1)が9頭すべてに見られる。
    2)歩様・走行姿勢では、速歩の多用や硬い後肢の動きが8頭に見られる(図2)。
    3)視覚刺激検査では、クリップボードの動きに対して後退りや頭部を振るなどの過剰反応が7頭に見られる。
    4)聴覚刺激検査では、拍手音および金属音に対し頭部を振るなどの過剰反応(図3)が8頭に見られる。
    5)接触検査では、症状が進行した牛の1頭の頚部、肩部、胸部を触ると激しく躯体を動かす反応がある。
    6)その他、頻繁に舌を鼻腔まで入れて舐めるなどの行動を見せる牛がいる。
  3. これらの臨床症状は、臨床変化の発見から解剖まで2~6ヶ月間、漸進的に推移し、とくに起立姿勢の異常と後肢の運動失調などが進行性に観察される。解剖時には9頭中4頭が起立不能である(1頭は転倒による筋断裂)。また臨床症状の進行に伴い、飼料摂取量が減退する例もある。
  4. 今回観察された症状は、諸外国のBSE野外発生例の症状と酷似しており、BSEの臨床症状を再現したと思われる。野外例に多く見られる接触への過剰反応を示した牛は少なく、人への攻撃性を示す牛はこの9頭では認められない。
成果の活用面・留意点
  1. 臨床所見によりBSE発症牛の発見が可能であるが、BSEの診断にはウエスタンブロット法や免疫組織化学検査などによる異常プリオン蛋白質の検出が必要である。
図表1 213712-1.jpg
図表2 213712-2.jpg
図表3 213712-3.jpg
図表4 213712-4.jpg
図表5 213712-5.jpg
カテゴリ くり

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