タイトル |
セミソリッドふん尿用固液分離装置と分離液の肥効特性 |
担当機関 |
根釧農試 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
高橋圭二
山田洋文
山本裕介
竹中秀行
竹内晴信
田村忠
渡部敢
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発行年度 |
2006 |
要約 |
セミソリッドふん尿処理農家の既存施設に後付けで設置可能な固液分離装置として、マニュアスプレッダをふん尿供給機に改造して固液分離機の上部に配置した装置を開発した。装置の利用費用は経産牛80頭および100頭飼養農家が個別導入する場合、それぞれ521および564万円となる。分離液を草地と畑地に施用するときには、養分含量に肥効率を乗じて肥料に換算する。
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キーワード |
乳牛ふん尿、セミソリッドふん尿、固液分離装置、分離液、利用費用
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背景・ねらい |
畑作酪農地帯におけるセミソリッドふん尿を適正に処理して有効活用するため、農家の既存ふん尿貯留施設に対し導入可能な固液分離装置を開発するとともに、開発した装置の利用方式別の費用を算出して導入条件を提示する。また、分離液の飼料作・畑作における肥効特性を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 開発した装置は、マニュアスプレッダをふん尿定量供給装置に改造し、スクリュープレス式固液分離機(セミソリッドふん尿対応・処理量2t/h)の上部に配置したものである(図1)。この装置はセミソリッドふん尿を排出する農家の既存施設に対して後付けで設置可能であり、農家間移動利用も可能である。この装置で、麦稈またはオガクズ混入セミソリッドふん尿を2t/h前後(1.37~2.65t/h)の処理能力で固液分離できる (図2)。分離固分は容積重が小さく良好な堆肥化が期待できる。
- 開発した固液分離装置を農家に個別導入する場合、固液分離装置(初期投資額:697万円)に加えて、ショベルローダーや固形分・分離液を貯留するための簡易堆肥盤・簡易貯留槽が必要になり、年間の利用費用は80頭飼養の場合で521万円、100頭飼養の場合で564万円となる(表1)。共同利用する場合には、さらに、クレーン付トラックと洗浄機が必要になり、年間の利用費用は、経産牛80頭飼養農家2戸、3戸および100頭飼養農家2戸による共同利用の場合、それぞれ1戸当たり478万円、382万円および522万円となる。共同利用は利用費用(固定費)が低減するものの、1戸当たりの最大稼働可能日数が半減するため、1日当たりの稼働時間は7~11時間に達することから、開発した固液分離装置(処理量2t/h)は、個別利用方式での普及が見込まれる。
- セミソリッドふん尿固液分離液の養分簡易推定法としては現行のスラリーの養分含量の推定式を当てはめる。分離液の牧草・飼料用トウモロコシに対する肥効評価は、現行のスラリーの肥料成分換算法を用い、窒素肥効率は全窒素の0.4またはアンモニア態窒素の0.7と設定する。分離液を秋まき小麦・緑肥用えん麦に対する肥効評価は、アンモニア態窒素肥効率を基肥で0.8~0.9、追肥で0.7~0.8と設定する(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は畑酪地帯におけるセミソリッドふん尿の適正処理と有効利用の一方法として活用する。
- 固液分離機は導入する農家(群)のふん尿処理量に応じた処理能力のものを選定する。
- 固液分離装置を複数の農家で共同利用する際には防疫対策に十分に留意する。
- 原料セミソリッドふん尿の雑草種子は分離液にも混入するため、施用に当たっては留意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
えん麦
小麦
雑草
飼料用作物
とうもろこし
乳牛
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