タイトル |
温湯除雄を用いたダッタンソバの簡易な交配方法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
本田裕
鈴木達郎
六笠裕治
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発行年度 |
2007 |
要約 |
ダッタンソバは、交配の前日午後に最頂花房の蕾を44℃、3分間の温湯処理で除雄し、翌朝に開花した花に人工授粉を行うことにより、高率に雑種種子が得られる。
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キーワード |
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背景・ねらい |
ダッタンソバは、毛細血管を強化する機能を有するルチンを子実中に多量に蓄積し、昨今の健康食志向を背景として、人気が高まっている。2007年には、北農研で育成した「北海T8号」が、北海道の優良品種に認定された。ダッタンソバは自殖性作物であり、これまで、導入、純系選抜、染色体倍加、突然変異育種などにより品種改良が行われてきたが、主要作物で広く行われている交雑育種は、ほとんど行われていない。この背景の一つには、ダッタンソバの花器が非常に小さく、ピンセットによる除雄操作が困難であり、また、交配の成功率が非常に低かったという技術上の問題があった。今後、交雑育種により積極的に優良形質の集積を図っていく上では、簡易で実用的な除雄・交配方法の開発が不可欠である。
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成果の内容・特徴 |
- ダッタンソバの除雄は、翌日に開花する蕾を含む最頂花房を、恒温水槽に浸漬する温湯処理で行う。交配には、処理翌朝に開花した花を用いる。
- 42℃・8分間、43℃・5分間、44℃・3分間以上の温湯処理により、自殖での結実率がほぼ0%となる(表1)。
- 人工授粉により結実が促されるが、44℃・3分間の温湯処理において最も結実率が高く、交配花数の半分程度で結実が得られる(表2)。
- 44℃・3分間の温湯処理は、様々な品種・系統への適用性も高く、ほぼ確実な除雄と人工授粉による結実が得られる(表3)。
- 以上の温湯処理と人工授粉により雑種が得られ(表4)、交雑育種が可能となる。
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成果の活用面・留意点 |
- ごく少数ながら自殖種子が残る可能性があるため、F1の形態やF2の形質の分離を観察し、自殖後代を適切に排除する必要がある。
- 植物体を養成する際の室温が高い場合、温湯処理後の開花が抑制され、人工授粉が困難となるため、概ね25℃以下の冷涼な温度で植物体を養成する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育種
そば
品種
品種改良
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