タイトル |
畑地型酪農経営におけるメドウフェスクを用いた集約放牧の導入効果 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2003~2007 |
研究担当者 |
藤田直聡
須藤賢司
篠田満
松村哲夫
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発行年度 |
2007 |
要約 |
経産牛60頭規模の畑地型酪農経営では、メドウフェスクを用いた集約放牧の導入により、従事者1人当たり労働時間の237時間短縮、農業所得の2,134千円増加が実現できる。飼料自給率は7.5ポイント上昇でき、配合飼料価格高騰の影響を小さくできる。
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キーワード |
メドウフェスク、集約放牧、労働時間、所得、飼料自給率、導入効果
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背景・ねらい |
十勝地域を中心とする畑地型酪農地帯においては、濃厚飼料を多給する舎飼による多頭飼育の酪農経営が展開してきた。しかし、このような方式では、飼養管理労働に基づく長時間労働が問題となっているだけでなく、昨今の配合飼料価格の高騰による収益性低下も著しい。この打開策として、土壌凍結の深い畑地型酪農地帯においても再生力が強く、放牧利用適性の高いメドウフェスク新品種「ハルサカエ」を用いた集約放牧技術を開発されている。そこで、線型計画法を用いて地域の標準的な飼養頭数規模(経産牛60頭)の畑地型酪農経営を対象に、メドウフェスクを用いた集約放牧技術の導入効果を試算する。
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成果の内容・特徴 |
- 開発技術は、越冬性と再生力に優れるメドウフェスク品種「ハルサカエ」の混播草地に、5月上旬から11月中旬まで草地生産力に応じて、放牧地面積を変えて一日輪換放牧するものである。放牧草採食量を確保することにより、1頭当たり年間乳量は8,500kgと舎飼と同等の乳量水準を維持できる。農家実証によれば、1頭当たりの年間飼養管理労働時間は舎飼の103.4時間から9.2時間少ない94.2時間に短縮できる(表1)。また、適切な追播によりメドウフェスクの割合を高める(被度60%)ことにより、放牧専用地で865kg/10aの乾物収量を5年間継続的に維持できる。
- メドウフェスク集約放牧では舎飼と比較して、経産牛年間1頭当たりで配合飼料を87kg、大豆粕を365kg減らすことができ、経営全体の購入飼料費は1,695千円節減できると試算される(表2)。
- 経産牛60頭規模の舎飼方式の酪農経営に、メドウフェスクを用いた集約放牧を導入した経営シミュレーションの結果、農業所得は2,134千円増えて16,684千円に増加する一方、放牧期間内の従事者1人当たり労働時間は237時間減少して1,438時間になる。また、飼料自給率(TDN換算)は65.4%から72.9%と7.5ポイント上昇する(表3)。
- 配合飼料価格の上昇が所得減少に与える影響は、舎飼に比べて集約放牧の方が緩やかであり、配合飼料価格の上昇に伴い、集約放牧の舎飼に対する相対的な有利性は高まる(図1)。
- 集約放牧の導入を希望する北海道畑作地帯の酪農経営の営農計画策定に利用できる。
- 試算結果は放牧地が牛舎周辺に団地化されていることが前提である。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「中規模酪農における畑地型集約放牧システムの体系化と経営評価」(指導参考) [具体的データ]
[その他]
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成果の活用面・留意点 |
- 集約放牧の導入を希望する北海道畑作地帯の酪農経営の営農計画策定に利用できる。
- 試算結果は放牧地が牛舎周辺に団地化されていることが前提である。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「中規模酪農における畑地型集約放牧システムの体系化と経営評価」(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
経営管理
飼育技術
新品種
大豆粕
乳牛
品種
放牧技術
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