タイトル |
生体捕獲したエゾシカの一時飼育における現状の要点を提示する |
担当機関 |
道立畜試 |
研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
斉藤利朗
藤川朗
佐藤文洋
岡崎ひづる
横井佳寿美
斎野仁
高久英徳
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発行年度 |
2007 |
要約 |
一時飼育における現状の要点としては、1)適正な飼料給与 2)圃場副産物等の利用による飼料費の節減 3)個体観察(元気,食欲、糞等)による異常の早期発見 4)給水施設の設置による肝蛭感染防止 5)エゾシカ衛生処理マニュアル(平成18年10月 北海道)の遵守 6)低品質部位(ウデ、スネ等)の加工技術開発が挙げられる。
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キーワード |
エゾシカ、一時飼育、飼料給与、寄生虫検査、枝肉成績
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背景・ねらい |
北海道は、エゾシカを北海道の貴重な天然資源としての利活用を推進している。そのためには、エゾシカの捕獲・飼養・製品化等の供給と流通および地域・観光振興を含めた需要とを関連づけたエゾシカ有効活用システムの事業化に向けた取り組みが必要である。このような供給から需要に至るシステムの中で一時飼育のための管理技術の確立は極めて重要であるが、現状では試行錯誤を繰り返しており、早急に飼育現場の個別技術を整理することが求められている。そこで、生体捕獲からと畜・解体・肉販売まで行っている2カ所の飼育場において捕獲したエゾシカの飼育管理状況を調査し、現状の要点について整理する。
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成果の内容・特徴 |
- 一時飼育では捕獲した鹿の導入(出荷)施設が必要である。出荷スペースのフェンスには激突を避けるためにビニールシートを覆っている。濃厚飼料用飼槽の前面には頭だけが入る幅の格子を取り付け、採食競合を防いでいる(写真1、2)。野犬の被害を防ぐためにフェンスを約10cm埋設している。敷地面積はA飼育場11ha、B飼育場15haである。
- 導入頭数は、A飼育場が1,178頭(3カ年)、B飼育場が293頭(2カ年)で、その約6割は雌鹿となっている。
- 濃厚飼料は両飼育場とも市販の圧ぺん大麦、圧ぺんメイズ、ビートパルプを給与している。粗飼料には近郊農家から購入の乾草(ロール)、低水分ラップサイレージを給与している。なお、B飼育場ではでん粉粕を与えている。
- 飼料給与量は、A飼育場が874gDM/日、B飼育場が1,120gDM/日で、濃厚飼料の占める割合はそれぞれ9割および7割と高い。A飼育場では小径木に食害が観察される。
- A飼育場における飼育期間中の増体量は、1歳が2歳以上より、雄が雌より高い(表1)。
- 輸送時および導入時にへい死した個体の死因は、主に事故死、骨折である。飼育期間中では衰弱および骨折が多い。
- 寄生虫検査では肝蛭および一般線虫の寄生が認められ、小型ピロプラズマはA飼育場で検出されている。
- と畜体重に対する可食肉量の割合は雄雌間に差はない。部分肉ではモモの割合が高いが、ウデやスネなどの低品質部位も高い(表2、図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- エゾシカ有効活用の行政施策に参考となる。
- 現在稼働中の飼育場における実態調査である
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「生体捕獲したエゾシカの一時飼育管理および産肉特性」(行政参考)
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
大麦
加工
管理技術
シカ
出荷調整
飼料用作物
肉牛
もも
輸送
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