細断型ロールベーラを利用したTMRの品質保持技術

タイトル 細断型ロールベーラを利用したTMRの品質保持技術
担当機関 道立根釧農試
研究期間 2005~2007
研究担当者 関口建二
高橋圭二
発行年度 2007
要約 細断型ロールベーラで梱包したTMRは夏期でも発熱を抑制でき、好気的変敗を起こさずに少なくとも1ヶ月貯蔵できる。貯蔵中に酢酸やVBNは増加するが、酪酸は生じない。開封後の温度上昇は緩やかで、当日調製TMRに比べ採食量に有意差はない。
キーワード
    細断型ロールベーラ、TMR、好気的変敗
背景・ねらい
    自給飼料を主体とするTMR供給システムではTMRの配送や調製作業の効率化のため、調製後のTMRを変敗させない品質保持・配送技術の確立が求められている。これまではトランスバッグや圧縮梱包機などが利用されてきたが、その効果や作業性、コストなどの点で課題が残されていた。細断型ロールベーラは切断長が短い材料でも高密度な梱包密封が可能であり、近年複数の大型機種が市販されたことから、道内での利用拡大も期待されている。そこで、細断型ロールベーラを使用したTMRの品質保持技術を検討する。
成果の内容・特徴
  1. バラ貯留すると1~2日経過後に明確な発熱を示すTMRでも、細断型ロールベーラによって梱包密封すると少なくとも1ヶ月は顕著な温度上昇を示さない(図1)。
  2. 貯留後のTMRロールベールを開梱し、バラ貯留した場合の温度上昇は、TMR調製直後からバラ貯留したTMRに比べ上昇傾向が緩やかである(図1)。
  3. ロールベール梱包したTMRは貯留中に酢酸含量やVBNが増加するが、pHの変化は小さい。酪酸は生成せず、好気的変敗の兆候は認められない(表1)。
  4. ロールベール梱包による貯留後のTMRは当日調製のTMRに対し、選択採食性は劣るが、給餌時間全体の採食量に有意差は認められない(図2)。
  5. ラッパ一体型細断型ロールベーラで作製したTMRロールベールの重量は乾物率によって変動するものの、乾物密度は概ね1立方メートルあたり200kg以上と高密度である。成形梱包時の損失は現物で0.5~0.8%と少ない(表2)。
  6. 自走式ミキサーから電動コンベアによってラッパ一体型細断型ロールベーラにTMRを供給する体系において、28個のロールベールを成形梱包するのに要した時間は待機時間を除きおよそ1時間30分で、ロールベール1個あたり約200秒である。
  7. 以上の結果から、細断型ロールベーラによるTMRの梱包密封はTMR調製後の好気的変敗を少なくとも1ヶ月間防止でき、TMRの品質劣化対策として有効である。
成果の活用面・留意点
  1. 本技術はTMRセンターなどにおいて、TMRの配送や調製作業の効率化のため、調製後TMRを一時的に貯留しなければならない場合の品質劣化抑止技術として利用できる。
  2. 作製したTMRロールベールの貯留は直射日光を避け、ラップフィルムの破損に留意する。また、TMRの貯留中は鳥獣害のおそれがあるため、貯留場所周辺環境の整備に努める。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「細断型ロールベーラを利用したTMRの品質保持技術」(指導参考)
図表1 213891-1.jpg
図表2 213891-2.jpg
図表3 213891-3.jpg
図表4 213891-4.jpg
カテゴリ コスト 鳥獣害 ばら 品質保持

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