根釧地域におけるイタリアンライグラスを用いた雑草防除法

タイトル 根釧地域におけるイタリアンライグラスを用いた雑草防除法
担当機関 道立根釧農試
研究期間 2005~2007
研究担当者 佐藤尚親
糟谷広高(根釧農試)
牧野司
林 拓
発行年度 2007
要約
    雑草萌芽後にロータリハローで表層攪拌を施し、イタリアンライグラスを3.5~4.0kg/10a播種して年3回採草する。これを2年間続けることでリードカナリーグラス等の地下茎型イネ科草およびギシギシを除草剤を用いた場合と同程度に抑圧できる。
キーワード
    イタリアンライグラス、雑草防除、表層攪拌、リードカナリーグラス、シバムギ、地下茎型イネ科草、ギシギシ
背景・ねらい
    除草剤の使用が制限される地域や、自給有機飼料の生産のために、除草剤を用いない雑草防除技術の開発が求められる。そこで、リードカナリーグラス(以下RCG)、シバムギ(以下QG)、レッドトップ(以下RT)、ギシギシ類(以下Rx)等の雑草に対して、表層攪拌法とイタリアンライグラス(以下IR)を用いて、除草剤を用いずに生態・耕種的に防除する技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. RCG雑草萌芽後にロータリハロー(以下RH)で15cm深の表層攪拌を施し、IRを3.5~4.0kg/10a播種。その後、生育日数を1番草50日、2番草30日、3番草45日程度で年3回採草することにより、RCGの地上部および地下部を抑圧することが可能である。この際、RHによる表層攪拌回数を増やす(4回以上)等の丁寧な施工により、RCG地下茎断片からの再生が少なくなり防除効果は高まる(図1、表1、写真1)。
  2. 表層攪拌でIR栽培を2年間実施することにより、前年秋にグリホサート系除草剤を散布して翌年表層攪拌IR栽培を行った場合とほぼ同程度にRCGを抑圧することが可能である。しかし、1ヶ年IRで防除し2年目に表層攪拌法でチモシー(以下TY)を導入した場合は、RCGが乾物収量中で1割程度を占め、経年化によるRCG割合増加が懸念される(表2)。
  3. IRのQGおよびRTに対する防除効果は、RCGに対する防除効果とほぼ同様である。
  4. IRのRxに対する防除効果は、Rxの地上部の抑制効果が認められる(表3)。
  5. 根釧地域において、IR主体草地の年間合計乾物収量はおおむね886kg/10a(うちIRは732kg/10a)程度である。IR主体草地の栄養成分レベルは、雑草割合が少ない場合は、日本標準飼料成分表の値に近いが、雑草割合により各成分値は低下する。また、本技術による播種までの施工費用は162,867円/haと試算される。
成果の活用面・留意点
  1. 根釧地域において、除草剤を使用せずに、雑草を防除する場合に活用できる。
  2. IRの自然下種による野生化を防ぐため、開花期前に収穫する。
  3. IRはアカヒゲホソミドリカスミカメの発生源となるので本技術の稲作地帯への導入は避ける。
  4. IR栽培後のTY導入方法は、実生雑草との競合が起きるので、土壌を表面に出さない播種方法の検討が必要である。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「根釧地域におけるイタリアンライグラスを用いた雑草防除法」(指導参考)
図表1 213898-1.jpg
図表2 213898-2.jpg
図表3 213898-3.jpg
図表4 213898-4.jpg
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カテゴリ 病害虫 有機農産物 イタリアンライグラス 雑草 除草剤 播種 防除

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