北海道の農耕地および未耕地における重金属類の賦存量

タイトル 北海道の農耕地および未耕地における重金属類の賦存量
担当機関 環境保全部
研究期間 1987~1992
研究担当者 乙部裕一
発行年度 2007
要約
    未耕地の可溶性銅および易還元性マンガン濃度は、土壌区分間に有意差が認められる。農耕地の銅、マンガン、ヒ素、ニッケル含量の中央値は各種の基準値を満たしているが、営農活動に起因した重金属類の負荷が認められる。
キーワード
    土壌、重金属類、賦存量
背景・ねらい
    土壌への重金属の過剰負荷を未然に防止するため、北海道の農耕地および未耕地土壌における重金属類(銅、マンガン、カドミウム、鉛、ヒ素、ニッケル)濃度の実態および営農活動がこれらに及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 未耕地の土壌別重金属類濃度の中央値、農耕地の地目別重金属類濃度の中央値はそれぞれ表1、2のとおりである。
  2. 銅:未耕地、農耕地ともに農用地土壌汚染防止法の可溶性銅濃度基準値125mg/kgを超える土壌は無く、未耕地土壌の45%が畑土壌の可溶性銅診断基準値0.5を下回る。未耕地の土壌区分間に有意差が認められることから、土壌区分別の可溶性銅分布図を作成した(図1)。
  3. マンガン:未耕地では34%の土壌が、畑土壌の易還元性マンガン診断基準値50~500mg/kgを外れる。土壌区分間に有意差が認められることから、土壌区分別の易還元性マンガン分布図を作成した(図1)。易還元性と酸分解マンガンとの間には強い正の相関が認められる(r=0.916)。
  4. 鉛:未耕地では可溶性と酸分解鉛との間には強い正の相関が認められる(r=0.616)。
  5. ヒ素:未耕地、農耕地ともに農用地土壌汚染防止法の可溶性ヒ素基準値の上限20mg/kgを超える土壌はない。
  6. ニッケル:交換性ニッケル濃度は未耕地、耕地とも検出限界未満の土壌が多く、畑土壌の診断基準値5mg/kgを超える土壌はない。
  7. 農耕地では、いずれの重金属類も負荷の傾向がみられる。とくに、樹園地では銅、マンガン、鉛、カドミウム、ヒ素の濃度が高く、聞き取り調査結果から、下水汚泥の施用やボルドー液、ヒ酸鉛等農薬使用の影響と推察される。
  8. 未耕地に比べ農耕地の濃度が高い地点の割合は、交換性ニッケルを除くと、各重金属類とも地目全体で41~71%である(表3)。
  9. 以上から、北海道の農耕地における重金属類含量は、中央値で見る限り各種の基準値を満たしているものの、一部に営農の活動に起因した負荷が認められる。
成果の活用面・留意点
  1. 農耕地および未耕地の重金属類含量を把握する基礎資料となる。
  2. 本成果では休廃止鉱山対策地域等、過去に土壌汚染が顕在化している地域は除外する。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「北海道の農耕地および未耕地における重金属類の賦存量」(指導参考)
図表1 213932-1.jpg
図表2 213932-2.jpg
図表3 213932-3.jpg
図表4 213932-4.jpg
カテゴリ 病害虫 農薬

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