タイトル |
皮切れ防止に配慮した菜豆の乾燥技術 |
担当機関 |
道立十勝農試 |
研究期間 |
2005~2008 |
研究担当者 |
鈴木 剛
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発行年度 |
2008 |
要約 |
菜豆の皮切れは乾燥開始後1時間の平均乾燥速度が2.0%を超える場合に発生する。農産物流通コンテナを利用する常温通風乾燥機や空気循環式乾燥機を使用する際に、乾燥開始時の子実水分、温度、湿度から皮切れを防止するための乾燥条件を推定できる。
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キーワード |
菜豆乾燥、皮切れ防止、農産物流通コンテナ、空気循環式乾燥機
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背景・ねらい |
気温・湿度の影響を受けるため、乾燥速度の制御が困難である。また、菜豆の皮切れは収穫時や加工工程で発生しやすいが、急速な乾燥工程においても発生が懸念される。薄層乾燥実験により皮切れの発生を防止する乾燥条件を明らかにするとともに、新たに農産物流通コンテナを利用する乾燥機や空気循環式乾燥機の利用法を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 恒温恒湿器を用いた薄層乾燥実験から、菜豆の皮切れは乾燥開始後1時間の平均乾燥速度が2.0%を超える場合に発生する。豆類の乾燥における平衡水分と温度と相対湿度の関係式から、開始後1時間の平均乾燥速度が2.0%となる初期水分と温度と相対湿度の関係を求めた結果、初期水分が大きい程、皮切れ発生を防止できる相対湿度の下限値は高まる(図1)。
- 開発した農産物流通コンテナを利用する乾燥機は、底面傾斜型のコンテナに専用底板および内袋を装着し、コンテナ上部に設置する送風部と内袋を密着させて吸引通風する常温通風乾燥機である(図2)。張込重量はおおむね650kg(堆積高さ50cm)の条件で利用でき、乾燥途中に子実の入れ替えを行うことで仕上がり時の子実水分のばらつきは±1%未満となる(表1)。乾燥後の子実は底面のシャッタと専用底板を開放して内袋下部の取り出し口から自然落下により排出する。専用の平形乾燥機と比べて乾燥速度の差は0.03%/h以下と小さく、受入等級や同一処理量における利用経費は同程度である。
- 空気循環式乾燥機は乾燥箱の上部にナイロン製カバーを装着して、乾燥時の排風の約60%を循環・加温することにより、同一温度の常温および外気加温乾燥よりも高い湿度条件で通風する乾燥機であり、送風温度は間接加熱式バーナにより設定温度に制御可能である(図3)。空気循環式乾燥は、常温通風乾燥と比較して風量比が大きく、一定の温湿度条件を保った空気が層内を循環することから、子実水分のばらつきは乾燥初期から少なくなり乾燥時間は短縮でき、加工適性は同等である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 常温通風乾燥時の湿度の下限値や空気循環式乾燥時の循環温度の上限値は表計算ソフトを利用して算出でき、入手希望者には配布予定である。
- 初期水分が高く、高温・低湿な条件の場合には、日中の乾燥開始を避ける。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「皮切れ防止に配慮した菜豆の乾燥技術」(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
加工
加工適性
乾燥
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