タイトル |
北海道におけるメロン果実汚班細菌病の発生生態と防除対策 |
担当機関 |
道立花野技セ |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
木口忠彦
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発行年度 |
2008 |
要約 |
2005年に北海道において海外産汚染種子により国内初発生した本病は、寒冷地においても越冬・定着する可能性はない。本病は育苗作業により高率で第二次伝染する。発生した場合には緊急的な防除として適用農薬の散布が有効である。
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キーワード |
メロン、果実汚斑細菌病、寒冷地、越冬、種子伝染、第二次伝染
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背景・ねらい |
ウリ類の果実汚斑細菌病は種子伝染性の重要病害で、植物防疫法により国内への侵入が警戒されている。国内ではメロンにおける発生生態が明らかでなく、的確な防除法が確立されていないことから、本試験では寒冷地における本病の発生生態の解明および化学的防除法の確立を目的とする。
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成果の内容・特徴 |
- 発生施設の追跡調査の結果、本圃の罹病残渣上での越冬による果実汚斑細菌病の再発生はなかったことが確認されたことから、種子伝染性の性格が強い本病の北海道内での定着の可能性は極めて低いことが示唆される。また、2006年以降は無病種子が供給されたため新規の発生もない。
- 北海道内においても無加温半促成作型では、本病の発生に十分な温湿度条件がそろっている。
- 2重トンネルによる保温は、高温多湿を好む果実汚斑細菌病菌の増殖を促進し、発病により好適な条件を作り出している(図1)。
- 灌水および接ぎ木による高率な第二次伝染を認め、育苗作業による感染の拡大が起きたことが考えられる。実生苗(図2)、接ぎ木後、および定植期以降の各生育ステージで無病徴の感染が起きる。
- 道内での本菌の越冬の可能性について検討したところ、残渣を夏に作製した試験では積雪前には減少し、保存期間中に更に減少して保存3ヶ月後の3月18日以降は検出されなかった。以上のことから道内での本菌の越冬の可能性はないと考えられる(表1)。
- カスガマイシン・銅水和剤、有機銅水和剤は本病に対して防除効果がある。両者のうち、カスガマイシン・銅水和剤は有機銅水和剤よりも効果が高い。
- 有機銅水和剤及びカスガマイシン・銅水和剤の散布は、本菌の第二次伝染の予防に効果がある(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成績は本病発生時の緊急的な対策を行う場合に活用する。
- 本病は植物防疫法上の重要病害であり、メロンの栽培にあたっては「ウリ科野菜の果実汚斑細菌病にかかる注意喚起について」(平成18年、農林水産省)を遵守する。
- 高温時の薬剤散布は薬害発生のおそれがあるため注意する。
- 本試験中の接種試験は温室および低温庫内のみで行った。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「北海道におけるメロン果実汚斑細菌病の発生生態と防除対策」(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
栽培技術
接ぎ木
農薬
防除
メロン
薬剤
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