ジャガイモの黒あざ病に対する生物防除資材Pythium oligandrumの効果と処理方法

タイトル ジャガイモの黒あざ病に対する生物防除資材Pythium oligandrumの効果と処理方法
担当機関 道立十勝農試
研究期間 2004~2008
研究担当者 小澤徹
清水基滋
池田幸子
竹中重仁(北海道農研)
発行年度 2008
要約 Pythium oligandrumの卵胞子懸濁液への種いも浸漬処理によるジャガイモ黒あざ病の種いも伝染と土壌伝染の両方に防除効果があることを明らかにし、その最適処理方法を示した。
キーワード ジャガイモ、黒あざ病、生物防除、Pythium oligandrum
背景・ねらい
    Pythium oligandrum(PO)は、多くの植物病害に対して防除効果を示し、環境負荷低減型生物防除資材として有望な土壌微生物である。主要畑作物病害に対する防除効果を調べたところ、ジャガイモの黒あざ病に対する防除効果が最も期待されたため、黒あざ病に対する最適処理方法の検討を行う。
成果の内容・特徴
  1. PO卵胞子懸濁液(MMR2菌株)に菌核が付着した種いもを瞬間浸漬し適正処理濃度を調べた。処理濃度は、1×104個/mlが最適であると判断される(図1)。
  2. PO卵胞子懸濁液(1×104個/ml)に種いもを瞬間浸漬後、風乾処理が防除効果へ及ぼす影響を検討したところ、風乾によって効果が低下することはない(図2)。
  3. PO卵胞子懸濁液に瞬間浸漬後の種いも表皮に付着している卵胞子数を計測した。また、その中でPDA培地上で20℃3日以内に発芽する卵胞子を活性卵胞子とし、活性卵胞子割合を算出した。その結果、風乾によって卵胞子付着数は減少し、1×104個/ml処理のとき風乾後約120個/㎠となる(図3)。ただし、活性卵胞子割合は風乾しても低下しない。
  4. POの種いも浸漬処理によってジャガイモの生育抑制は認められず、薬害はない。
  5. これらの結果から、ジャガイモ黒あざ病防除におけるPOの最適処理方法は、種いもを卵胞子懸濁液に瞬間浸漬し、風乾すること、処理濃度は1×104個/ml、目標卵胞子付着数は風乾後約120個/㎠である。以降、この処理方法をPO処理と称する。
  6. PO卵胞子懸濁液にオキシテトラサイクリン・ストレプトマイシン硫酸塩水和剤または銅水和剤を添加し、卵胞子の活性および黒あざ病に対する防除効果を調べた。その結果、卵胞子の発芽力の低下は認められず、防除効果も低下しない。
  7. 健全な種いもにPO処理を行い、黒あざ病の汚染土壌に植えつけたところ、土壌伝染に対しても防除効果が認められ、対照の化学農薬より高い防除効果を示す(図4)。
  8. 種いも伝染および土壌伝染に対するPOの種いも処理による防除効果は、4種類の土壌(褐色低地土、灰色台地土、多湿黒ボク土、淡色黒ボク土)で認められたことから、PO処理は一般的な畑作地帯の主要土壌に適応できると考えらる。
成果の活用面・留意点
  1. 本資材は、生物農薬として未登録である。
  2. 本成果は、POを生物農薬資材として農薬登録を進める場合の技術上の参考とする。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「ばれいしょの黒あざ病に対するPythium oligandrumの生物防除効果と処理方法」(研究参考)
図表1 214035-1.jpg
図表2 214035-2.jpg
図表3 214035-3.jpg
図表4 214035-4.jpg
カテゴリ 病害虫 環境負荷低減 農薬 ばれいしょ 防除

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる