タイトル |
水稲第6染色体長腕末端領域に座乗する新規の低アミロース性QTL |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
松葉修一
船附稚子
黒木慎
横上晴郁
清水博之
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発行年度 |
2008 |
要約 |
由来の異なる4つの低アミロース品種・系統、「はなえまき」「柔小町」「zt14」「EM15」では、第6染色体長腕末端の共通した領域にそれぞれの低アミロース性QTLが座乗し、SSRマーカーを用いた選抜が可能である。
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キーワード |
水稲、低アミロース、DNAマーカー、はなえまき、柔小町
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背景・ねらい |
米のアミロース含有率は、食味を左右する大きな要因であり、特に粘りを決定づける。アミロース含有率が適度に低い品種・系統は適度に粘り、食味が優れるものとして、わが国の良食味米育種に用いられている。また、低アミロース性を効率よく導入するためには、DNAマーカーを利用した育種選抜が有効である。そこで、いくつかの低アミロース品種がもつ低アミロース性QTLを解析し、選抜DNAマーカーの開発を行う。
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成果の内容・特徴 |
- 由来の異なる4つの低アミロース品種・系統、「はなえまき」「柔小町」「zt14」「EM15」では、それぞれと「初雫」との交配後代のF2集団の解析の結果、第6染色体長腕末端領域に共通して座乗するQTL(qLAC6h、 qLAC6y、 qLAC6z、 qLAC6e)が低アミロース性に大きく関与しており、近傍のRM7555等のSSRマーカーで検出できる(図1、表1)。
- 上記の4品種・系統を用いた交配後代のF2解析集団では、qLAC6h、 qLAC6y、 qLAC6z、 qLAC6eをホモで持つことによって、持たない場合と比べて、アミロース含有率は有意に低減する(表1、図2)。
- 2007年度に北海道農研(札幌市)の温室で養成した、上記の4品種・系統と「初雫」との交配後代のF2解析集団では、4つの低アミロース性QTL(qLAC6h、 qLAC6y、 qLAC6z、 qLAC6e)をホモで持つことによって、アミロース含有率(%)はそれぞれ平均して8.4、10.7、9.8、8.7の低減効果がある(表1、図2-A)。また、2008年度の北海道農研の水田圃場で養成した「北海300号/はなえまき」のF2集団においても、qLAC6hをホモで持つことによって、アミロース含有率(%)は平均して9.5の低減効果がある(図2-B)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本研究で見いだされたQTLは、上記4つの品種・系統を供与親とした低アミロース性のマーカー育種に利用可能である。
- 選抜に利用可能なSSRマーカーは、International Rice Genome Sequencing Project(2005、Nature 436:793-800)によって開発・公開されている。
- 4つの低アミロース性QTLの機能等については、未解明である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
水田
水稲
DNAマーカー
品種
良食味
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