低湿重粘土水田における大豆作付跡地土壌の窒素代謝能の経年変化

タイトル 低湿重粘土水田における大豆作付跡地土壌の窒素代謝能の経年変化
担当機関 北陸農業試験場
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約  低湿重粘土水田を畑転換した大豆作付跡地土壌の窒素代謝能(無機化,有機化,硝化)の経年変化を重窒素希釈法で測定した。作土の無機化能/有機化能は転換初年目は低いが2年目には無機化能が有機化能を上回り,引き続き増加する。作土の硝化能は転換初年目から増加し,下層土では2年目に増加する。
背景・ねらい  水田の汎用化による土壌の諸変化,特に生育への影響の大きい窒素の動態を解明することは,転換畑作物の肥培管理や土壌肥沃度の維持管理の観点から極めて重要である。そこで,低湿重粘土水田を畑転換した場合の窒素代謝能の変化の特徴を検討した。
成果の内容・特徴
  1.  低湿重粘土水田(強グライ土)(700m2)を毎年120m2づつ転換し,水田時から畑転換後4年目までの土壌を造成した。毎年10月中旬に作土(0~15cm),下層土(15~30cm)を採取した供試土壌に,約20atom%の重窒素硫安を100g乾土当たり2mg添加し,脱窒の無視できる水分条件で,20℃または25℃で好気的に培養し,NH4-N量,15NH4-N濃度,NO3-N量の経時的変化からNishioらの式により無機化能,有機化能,硝化能を求めた(図1)。

  2.  作土の窒素無機化能は畑転換1年目にやや低下したが,その後水田時と同じ水準に回復しほぼ一定で推移した。有機化能は畑転換によって低下する傾向にあった(表1)。無機化能/有機化能比は転換年次とともに増加し,硝化能は急増し飽和した(図2)。
  3.  下層土の窒素無機化能は畑転換によって増加し,その後ほぼ一定で推移し,有機化能は畑転換によって減少した(表2)。下層土の無機化能/有機化能比および硝化能は作土より1年遅れて増加し,硝化能は転換3年目には初年目の約2倍となった(図2)。
  4.  以上から,畑転換初期には有機化が無機化よりも勝っているので,それを考慮した施肥の必要性が示唆された。また転換年数とともに無機化能/有機化能比が増加し,硝化能も増加するので土壌由来の硝酸態窒素量が増加すると考えた。硝酸態窒素は,溶脱や脱窒を受け易いことから,窒素地力は畑地化の進行で減耗の方向に進むと推察された。
成果の活用面・留意点  畑転換年次に応じた窒素肥培管理法の確立,および窒素地力の動向把握のための基礎資料となる。さらに圃場における自然条件下の窒素動態を予測するには,土壌水分,培養温度,pH時のパラメータを変えたデータの集積が必要である。
図表1 214067-1.gif
図表2 214067-2.gif
図表3 214067-3.gif
図表4 214067-4.gif
カテゴリ 水田 施肥 大豆 肥培管理

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