低湿重粘土水田における畑転換後の作付体系と土壌構造

タイトル 低湿重粘土水田における畑転換後の作付体系と土壌構造
担当機関 北陸農業試験場
研究期間 1995~1996
研究担当者
発行年度 1995
要約 北陸地域の低湿重粘土水田では、水稲作付後の冬期間に畑作物を導入することにより作土層上部の粗間隙量は大きく増加する。加えて、夏作大豆の導入により、粗間隙量の増加は下部にまで及び、飽和透水係数が大きくなり、圃場の排水性が改善される。
背景・ねらい 北陸地域は秋に降雨が多く、また、冬期間の積雪や重粘土水田が広く分布するなど、畑作物の生育にとって排水条件が極端に悪い。そのため、暗渠などによる排水改善に加えて、作物や作付体系によって土壌構造を改善し、畑作物の安定生産を図る必要性がある。そこで、水稲収穫後の冬期間の作付の影響をみるため、細粒強グライ土(田川統)水田に大麦、イタリアンライグラス及び休閑の3試験区を設け、冬期間の作物の有無や作付体系の違いが土壌構造に及ぼす影響を検討し、適切な作付体系を確立する上での基礎資料を得る。
成果の内容・特徴
    土壌の排水性は粗間隙量(pF1.5で排水される間隙量)により評価し、保水性は植物が容易に利用できる水分量としてpF1.5~3.0の水分量で評価した。
  1. 休閑区では粗間隙量は極端に少なく、多雨、積雪下での土壌構造の改善は期待できない。しかし、冬作物を栽培することにより作土(0~15cm)の粗間隙量が増加し、飽和透水係数は休閑区の1万~10万倍にもなり、排水性が改善される。特に、その効果は、大麦よりも根の発達するイタリアンライグラスで大きい。しかし、両区とも作土層下部(10~15cm)の粗間隙量の増加は少ない(図1、表1)。
  2. 冬作にイタリアンライグラス、夏作に大豆を導入した後、転換2年目に大麦を栽培することによって、粗間隙量の増加は作土の下部(10~15cm)にまで及び、飽和透水係数も作土全体で10-2cm/sのオーダーとなり、排水性が改善される(図2、表2)。
  3. 保水性は、冬作物の栽培によって増加するが、粗間隙ほどの顕著な特徴は認められない。また、畑転換初年目と2年目では保水性の大きな違いは認められない(図1、図2)。
成果の活用面・留意点
    冬作期間が湿潤な気候となる地域における、重粘土水田の畑転換技術の基礎資料として活用できる。なお、畑転換2年目の圃場の成果は、畑転換初年目に記録的な干ばつに見舞われており、 通常年より土壌は乾燥しており、利用に当たっては注意する必要がある。
図表1 214086-1.gif
図表2 214086-2.gif
図表3 214086-3.gif
図表4 214086-4.gif
カテゴリ イタリアンライグラス 大麦 乾燥 水田 水稲 大豆 排水性

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