大豆腐敗粒の発生要因と抑止策

タイトル 大豆腐敗粒の発生要因と抑止策
担当機関 富山県農業技術センタ-
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 大豆の腐敗粒は子実登熟期の中期以降に台風等で傷ついた莢にFusarium属やAlternaria属の病原菌が侵入して多発生する。発生の抑止には,損傷後にイミノクタジンアルベシル酸塩剤を散布するとともに,落葉期以降に可能な限り速やかに収穫・乾燥することが有効な回避策である。
背景・ねらい 通常の年の大豆腐敗粒の発生は1%以下である。ところが,平成2年と平成3年には台風襲来による風速30m を超える強風害で大豆が落葉と損傷を受け,その後の降雨・高温と相まって単収は平成2年が38kg/10a(作況指数16),平成3年が58kg/10a(作況指数24)と激減したが,その原因は明らかに腐敗粒によるものであった。そこで,中発生年~大発生年を想定してその発生生態を究明するとともに,抑止策を模索した。
成果の内容・特徴
  1. (1)腐敗粒からは主としてFusarium属菌やAlternaria属菌が分離される。それらの菌を莢へ無傷接種しても発病は高くないが,莢へ有傷接種すると培養菌の噴霧接種法と土壌表層接種法のいずれによっても腐敗粒は著しく多発する(表1,表2)。
  2. (2)大豆の生育時期では,粒肥大盛の9月上旬頃に莢が損傷を受けると最も子実の被害が顕著となる(図1)。
  3. (3)ポット試験の結果から,大豆が損傷を被った時には速やかにイミノクタジンアルベシル酸塩剤を散布すれば腐敗粒の発生抑止効果が高い(表3)。
  4. (4)莢の有傷区で粒を経時的に採取して腐敗の発生を見ると,日数が経過するほど発病が増加することから,登熟期に台風害で莢が損傷を受けた後は,上記の薬剤を散布するとともに,粒大の増加が停止する開花後ほぼ60~70 日に当たる落葉期以降に,可能な限り速 やかに収穫・乾燥すれば発病の軽減に結びつくと考えられる。(図2)
成果の活用面・留意点
  1. (1)イミノクタジンアルベシル酸塩水和剤はダイズ紫斑病防除剤として平成9年中に登録される見込みである(収穫7日前までの散布が可能)ので登録を待って使用する。
  2. (2)腐敗粒はフタスジヒメハムシ等の虫害により助長されるとすることが知られており,フタスジヒメハムシ対象の殺虫剤の散布で被害軽減効果が期待される。また播種時期が遅いほど発生が回避される傾向にある。
図表1 214100-1.gif
図表2 214100-2.gif
図表3 214100-3.gif
図表4 214100-4.gif
図表5 214100-5.gif
カテゴリ 病害虫 乾燥 大豆 播種 防除 薬剤

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