タイトル |
ウメ「紅サシ」果実の滴定酸度測定によるクエン酸含量の推定 |
担当機関 |
福井県園芸試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
ウメ果実の滴定酸度と、開花盛期からの積算温度を測定することにより簡易に収穫前から収穫末期までの果実中のクエン酸含量を推定することができる。
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背景・ねらい |
ウメは、収穫時期が早過ぎると未熟果が混入するため、漬け込み後の軟化が進まず、染まりも悪く、梅干し品質が著しく劣る。そのため収穫開始期としては果肉のクエン酸 含量が2%に達した時を、また漬け込みの時期としては3%以上に達した頃を目安としている。しかし、クエン酸含量の測定は操作が煩雑で高価な機器を必要とし、長時間を要するため、操作が簡単な滴定酸度を測定してクエン酸含量を推定する。
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成果の内容・特徴 |
- (1)果肉のクエン酸含量は収穫初期は低く、果実の肥大・成熟とともに高まるのに対し、リンゴ酸含量は成熟するにつれて低下する(図1、図2)。一方、滴定酸度はこの期間中若干増加傾向にあるが、クエン酸含量ほど大きな変化はない(図3)。
- (2)果肉のクエン酸とリンゴ酸の合量に対するクエン酸の比率(y)は、開花盛期からの平均気温の積算値(x)の増加とともに大きくなり、両者の間にはy=0.0007x-0.3962の有意な関係がみられる(表1、図4)。
- (3)滴定酸度は、果肉10gに50mlの水を加え、ホモジナイザーで粉砕後、試料液5mlを採り、フェノールフタレィンを指示薬として、1/10N水酸化ナトリウムで滴定し、果実試 料1gに対する1/10N水酸化ナトリウムの滴定量(ml数)で表わす。
- (4)(3)で求めた滴定酸度(ml数)に、(2)から得られたクエン酸比率を乗じた値(X)とクエン酸含量(Y)との間には、Y=0.655X+0.0113の有意な関係があり、滴定酸度を測定することにより、簡易にクエン酸含量を推定できる(図5)。
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成果の活用面・留意点 |
- (1)地区別の収穫開始時期と一次加工開始時期の判定資料となる。
- (2)紅サシ以外の品種では適用できない。
- (3)積算温度は、果実採取地にできるだけ近い観測地のデータを用いる。
- (4)滴定酸度測定用試料は、中庸な果実10~15個から採取し、採取後短時間に分析を行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
うめ
加工
品種
りんご
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