タイトル |
北陸地域積雪地の露地越冬栽培におけるナバナのビタミンC及び糖類の含有率の変動 |
担当機関 |
北陸農業試験場 |
研究期間 |
1994~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
北陸地域の積雪地において、露地越冬栽培したナバナ(Brassica napus L.) の糖類含有率は、雪解け後の生育期間の気温等の影響を受けて大きく変動する。しかし、ビタミンC含有率は安定的で、その変動は小さい。
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背景・ねらい |
ナバナは耐雪性が強く、積雪地における有用な露地越冬野菜であるが、品質成分の栽培期間中の変動についてはほとんど調べられていない。そこで、野菜の品質成分として重要なビタミンC及び糖類について、収穫期間中のビタミンC及び糖類含有率の変動と、葉身・葉柄等の部位別含有率の差異を調査するとともに、雪解け後の生育期間の温度条件がビタミンC及び糖類含有率に及ぼす影響を調査し、栽培上の基礎資料とする。
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成果の内容・特徴 |
- ナバナのビタミンC含有率は葉身部で高く、葉柄部、茎部で低い。一方、糖類含有率は葉柄部及び茎部で高く、葉身部で低い。しかし、各部位のビタミンC及び糖類含有率の変動係数は、収穫期間中の1日当たり日射量の変動係数34.3%に比べ小さく、またビタミンC含有率の変動係数は糖類含有率の変動係数より小さい(表1)。
- ビタミンC含有率は、主茎収穫物と一次側枝収穫物、及び品種の違いによる差は小さい。糖類含有率は、主茎収穫物と一次側枝収穫物、及び品種の違いによる差が大きい(図1)。
- 少雪地では雪解けは早いが雪解け後の気温は低く、多雪地では雪解けは遅いが雪解け後の気温は高く推移し、積雪期間の長短によって抽苔時気温が異なる。そこで、低温区(昼温/夜温=13℃/5℃)と高温区(昼温/夜温=20℃/12℃)を設定し、部位別の含有率を比較した。その結果、ビタミンC含有率は、全ての部位において低温区が高温区より高かったが、その差は小さい。糖類含有率は、低温区が高温区より明らかに高い。(図2)
- 以上のことから、北陸地域の積雪地において露地越冬栽培で収穫したナバナは、ビタミンCを安定的に含み、栽培環境の変動による影響は小さい。
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成果の活用面・留意点 |
- ビタミンC含有率は、ヒドラジン比色法を用いて測定した還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの総和である。糖類含有率は、HPLCを用いて測定したグルコース、フルクトース、スクロースの総和である。
- 主茎は、植物体の真上から花蕾部が観察されたときに収穫した。一次側枝は、25cm以上に伸長したとき、25cmの長さで収穫した。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
なばな
品種
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