タイトル |
非加熱食肉製品の製造技術の開発 |
担当機関 |
富山県食品研究所 |
研究期間 |
1993~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
非加熱食肉製品の製造技術において、乾燥熟成条件は温度20℃以下,風速2m/秒以下で緩慢乾燥することにより乾燥大皺、中心部の空洞化を防げること、pH調整が色調の安定化に有効であること、スターターの添加が有害菌の排除、風味の向上の促進に寄与することが分かった 。
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背景・ねらい |
近年、非加熱食肉製品の製造規範が法的規制緩和の方向にあり、これに伴い食肉製品の新たな分野として、製品開発が期待されている。しかしこれら非加熱製品は日本の気候風土に沿った、製造条件や製造過程における性状変化等についての研究報告が少ないのが現状である。本試験では非加熱食肉製品の製造条件、性状変化、微生物との関わり等についてサラミ・ソーセージを製造モデルとし、風味豊かな非加熱食肉製品を作成するための製造技術の確立を図るものである。
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成果の内容・特徴 |
- (1) 製造過程において、カッテング(細切り)時の肉温を5℃以下にしないと、カッテング不良や色調不良を生じた。これを防ぐ処置としてカッテング時の原料肉温を-10℃以下に凍結処理することが有効であった。又乾燥熟成工程において風速が製品質に与える影響が強く風速が2m/秒以上では、表面皺の肥大、色調不良、中心部の空洞化等の現象が生じることが分かった(図1)。
- (2) 製造過程の有害菌の混入事故を想定し、数種の有害菌とスターターを製造時に植え付け、菌叢の動向を検討したところ、約5~14日間で有害菌叢はほぼ消滅することが分かった(図2)。
- (3) 非加熱製品の特徴である肉の熟成香をガスクロマトグラフでを補足したところスターターとして用いた菌叢群によって差異があることが分かった。製品の安定した良好な色調を得るには、グルコノデルタラクトン(G.D.L)等によるpH調整が有効であった(図3、図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- ・非加熱食肉製品は独特の熟成風味を有しており、新分野の製品として、アイテムの広がりが期待されている。
- ・日本の多湿な条件下での非加熱製品の製造は製造環境が品質におよぼす影響が大きく、今後、簡便な温湿度、風速等を管理出来る製造システムの開発が望まれる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乾燥
製造システム
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