タイトル |
糯米澱粉の鎖長による餅の硬化性の評価 |
担当機関 |
福井県農業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
糯米澱粉を枝切り後、その鎖長分布を調査したところ、鎖長が長いほどアミログラムの糊化温度が高く、餅の硬化が早く、澱粉の構造が餅米の理化学性、硬化性に影響を与えていることが明らかとなった。
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背景・ねらい |
餅は保存中に硬化することが知られており、この硬化速度は糯米の加工適性上の重要な指標の一つである。従来この硬化速度は実際に餅に加工したり、アミログラムの糊化温度を測定することにより推定してきたが、硬化性に影響を及ぼす要因は明らかではない。そこで糯米澱粉の構造を測定することにより、餅の硬化性に及ぼす影響を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- (1)糯米として平成6,7年農業試験場産恵糯、中部糯90号、ふ系糯170号、カグラモチ、愛知糯90号、中部糯91号、タンチョウモチ、愛知糯91号、中部糯81号、越南糯167号、北陸糯171号を用いた。
- (2)糯米澱粉の枝切り処理は各糯米より0.1%水酸化ナトリウム水溶液を用いて澱粉を調製後、85%メタノールで脱脂を行い澱粉を調製した。この脱脂澱粉を1N水酸化ナトリウムで糊化させ0.5N塩酸で中和後pH3.5、60mM酢酸緩衝液を加え林原製イソアミラーゼで枝切りし、80%エタノールで脱塩後乾燥させた。
- (3)鎖長分布は枝切り済み澱粉を90%DMSO溶液に再溶解し、高速液体クロマトグラフィー(カラム:YMC-Diol-120 8.0mm×500mm、流速1ml/min、容離液:水、検出器:示差屈折計)を用いて調査した。また分子量決定のために標準物質としてAS-10(アジノキ製アミロース、分子量10000)とMaltohexaose(林原製、分子量990)を用いた。その結果図1に示すようなクロマトグラムを得ることができた。
- (4)その他理化学性の評価として澱粉のヨウ素反応スペクトルのλmax、青価(680nmの吸光度)、白米粉アミログラム(粉濃度8%、5%硫酸銅溶液)及び蛋白質含量を測定した。餅は家庭用餅つき器で調製し、24時間冷蔵庫(5℃)中で保存した後の硬さを果実硬度計で調査した。
- (5)その結果餅の硬化性と餅米澱粉のB鎖長(長鎖平均分子量)との間に高い正の相関が認められ、A鎖長(短鎖平均分子量)とも正の相関が認められた。またB鎖長と糊化温度、λmax、青価が相互に強い相関関係が認められたが、蛋白質含量とはいずれも相関はなかった。このことから餅米の理化学性、硬化性に澱粉の鎖長が重要な影響を与えていることが明らかとなった(表1,図2,図3)。
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成果の活用面・留意点 |
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
加工
加工適性
乾燥
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