タイトル |
水稲湛水直播栽培における除草剤使用期間の推定法 |
担当機関 |
福井県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
水稲苗およびノビエ葉令の進展と気温との密接な関係から、除草剤使用期間が有効積算気温で表示でき、気温変動を考慮して剤の使用日が推定できる。
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背景・ねらい |
水稲直播栽培では、生育初期においてノビエ葉令が水稲より早く進展するため、代かき後の播種が遅れた時などは散布時期を失する場合がある。大区画圃場では葉令の進んだ雑草を見落とし易いので、剤の使用も遅れやすい。そこで、ノビエおよび水稲苗の初期生育速度と有効積算気温との関係から、除草剤使用可能期間を推定した。
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成果の内容・特徴 |
- 水稲苗の葉令は播種日起点の有効積算気温[(日平均気温-10℃)の積算値]と、ノビエ最大葉令は代かき日起点の有効積算気温と密接な関係があり、薬害に安全な水稲最少葉令と剤の効果が期待できるノビエ最大葉令はA・B式より推定できる、(図1、2)。
- 除草剤の使用可能な有効気温積算値の範囲は、キヌヒカリを栽培した場合で、
①パターンⅠ:一発処理剤のみで除草する場合(図3a)。水稲0.5葉期~ノビエ2葉期で使用できるので、播種後69℃~代かき後102℃の範囲。 ②パターンⅡ:代かき後の播種が遅れ、一発処理剤をノビエ2葉期までに処理できない場合(図3b)。広葉雑草は一発処理剤で、ヒエはシハロホップブチル剤で枯殺する。この場合、一発処理剤は水稲0.5葉期~広葉2葉期(ノビエ3葉期に相当)で、シハロホップブチル剤は1.5kg/ 10aであれば水稲0.5葉期~ノビエ3.5葉期で使用できる。すなわち、播種後69℃~代かき後156℃が一発処理剤の使用範囲、播種後69℃~代かき後184℃がシハロホップブチル剤の使用範囲。
- 農作業前なら播種予定日から平年値で有効気温を積算し、上記範囲の最小値となった日が除草剤使用開始日で、代かき・整地の予定日から平年値で有効気温を積算し、上記範囲の最大値となった日が使用晩限日。代かき後や播種後であれば、各作業の実施日から計算日までは実際の気温で、その後は平年値で、剤の使用開始日・晩限日を算出する。
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成果の活用面・留意点 |
- 使用期間は、福井県除草剤の使用指針に従って計算した
- 農作業前に余裕のある除草を行えるよう作業計画が立てられる。また、代かきや播種後であれば実際の気温の年次変動に合わせて除草実施日の変更ができる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
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除草
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ひえ
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