熱画像の解析による水稲苗の水分状態の診断

タイトル 熱画像の解析による水稲苗の水分状態の診断
担当機関 福井県農業試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者
発行年度 1997
要約 熱画像から求めた苗の表面温度から含水率を推定する手法を明らかにした。 また、CWSI(Crop Water Stress Index)値を用いることによって、測定条件が異なっても普遍的に水分状態が診断でき、苗質が向上する。
背景・ねらい 水稲育苗期間中の灌水管理は、温度管理とともに健苗育成の観点から重要な技術である。このため、水稲苗の水分状態の隔測診断手法を明らかにするとともに、灌水管理と苗質および初期生育の関係について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 外観上健全と認められる苗の含水率は、おおむね80%以上である。苗の萎凋は、含水率がこれより低下する頃から観察された。隔測された熱画像の解析によって得られた苗の表面温度は、水分状態の違いにより最大15℃以上の差があり、表面温度と苗の含水率の間には負の相関関係が認められる(図1)。
  2. 測定環境の影響を受けずに普遍的に苗の水分状態を診断するための指標として、湿潤濾紙と乾燥床土の放射温度を組み込んだCWSI値が適している。
    Ts - TminTs……苗の表面温度
    CWSI=Tmax…乾燥床土の放射温度
    Tmax - TminTmin…湿潤濾紙の放射温度
     苗の萎凋開始時点のCWSI値は概ね 0.3で、これより指標が大きくなるほど萎凋程度 が高まる傾向にある(図2)。この指標は、微気象環境、品種、播種量、床土の種類が 異なる条件でも適用できる
  3. 灌水量が不足すると、地上部重が小さくなりマット形成および初期生育が劣る。多量灌水の場合には、温度管理が適切であれば苗の徒長はそれほど大きくないが、根の張りや乾物重がやや低下し、発根程度や移植後の初期生育がやや劣る傾向にある。したがって、苗1葉期以降の13:00頃のCWSI値が0.1前後となるような管理が望ましく、0.3以上にしないようにする(表1、図3)。
  4. 熱画像から得られた苗表面温度と簡便なスポットタイプ放射温度計により測定した表面温度には高い相関関係があるため、放射温度計からもCWSI値を算出することができる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 特に大規模育苗施設の苗の灌水ムラや水分状態の診断に活用できる
  2. 灌水の診断は午前、午後に1回ずつ行うのが望ましい
図表1 214176-1.gif
図表2 214176-2.gif
図表3 214176-3.gif
図表4 214176-4.gif
カテゴリ 育苗 温度管理 乾燥 診断技術 水稲 播種 品種 水管理

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