タイトル |
散播直播水稲の限界苗立密度および最高分げつ期茎数の推定 |
担当機関 |
北陸農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
最大分げつ数(理論値)にもとづく散播直播水稲の苗立密度の下限値は、穂数500本/㎡、有効茎歩合65%とした場合、24~46本/㎡となる。また、最高分げつ期の茎数は、一次分げつの最下出現節位の異なる個体ごとの最大分げつ数に各個体の出現頻度を乗じて合算した数値に、さらに苗立密度を乗じて推定される。
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背景・ねらい |
水稲直播栽培では、苗立ちの安定化のために種々の対応策が講じられているが、苗立ちは必ずしも安定せず、特に大区画水田における苗立ちムラの局所変動は目下のところ避けがたい。そこで、散播直播水稲において、苗立密度の著しい低下を分げつ力によってどの程度克服できるのかを理論的に解析する。また、比較的均一な大区画水田の群落で、分げつ力と下位節の分げつ出現頻度とから最高分げつ期の茎数を早期に推定する手法を開発する
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成果の内容・特徴 |
- 苗立密度が低いほど一次最終分げつの出現節位は上位となり、また最高分げつ次位も高まるので、個体あたり最大分げつ数(理論値)は苗立密度が低いほど多くなる(表1)。
- 有効茎歩合を65%と仮定し穂数500本/㎡の確保を前提条件とした場合、最大分げつ数から算出した苗立密度の下限は24~46本/㎡となり(表2)、生育・収量から判断した既往の報告における適正苗立密度の下限値30~50本/㎡とよく一致する。
- 最高分げつ期茎数(最高茎数)の予測は以下の考え方による。
(1)一次最終分げつの出現節位は、年次、施肥量に対する変動がきわめて小さい。 (2)一次分げつの最下出現節位の異なる個体ごとに、個体あたりの最大分げつ数を算出する。 (3)この最大分げつ数に各個体の出現頻度を乗じて合算した数値に、さらに苗立密度を乗じて最高茎数の推定値とする。
- 苗立密度64本/㎡および85本/㎡の散播水稲で最高茎数の予測(ただし、前葉節から分げつは出現しないとした)を試みたところ、2号分げつ出現期に予測した場合、実測値を16~17%上回ったが、3号分げつ出現期に予測することにより、ほぼ実測値に近い値を得ることができる(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 分げつの識別およびその表記に際し、「不完全葉」を第1葉とした。
- 水稲品種「キヌヒカリ」を供試し潤土直播栽培を行って得られた結果である。
- 最高茎数を推定する際の調査地点数や個体数等の検討が必要である。
- 2号分げつが高い割合で出現した場合の検討が必要である
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
直播栽培
水田
水稲
施肥
品種
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