タイトル |
イネドロオイムシに対する昆虫病原糸状菌Beauveria |
担当機関 |
新潟県農業総合研究所 |
研究期間 |
1995~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
昆虫病原糸状菌 Beauveria bassiana は,イネドロオイムシ成虫,卵,幼虫に対して殺虫力を示し,生物的防除の有効な素材となる。
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背景・ねらい |
水稲害虫の防除は化学農薬への依存度が極めて高いが,薬剤抵抗性害虫の出現や生態系,環境への影響,消費者の無・減農薬農産物指向などから,化学農薬以外による防除法の必要性が高まっている。 そこで,イネドロオイムシに対する昆虫病原糸状菌 Beauveria bassianaの殺虫力を明らかにし,生物的防除の素材としての可能性を検討した。
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成果の内容・特徴 |
新潟県内で採集したイネドロオイムシ成虫から分離,選抜したBeauveria bassiana Nb-3菌株について,イネドロオイムシに対する殺虫力を室内接種試験等により明らかにした。
- 越冬後成虫に対しては,接種濃度1×107分生子/ml以上で,80%以上の死亡率となり,濃度が高いほど致死期間が短縮される(図)。
- 卵に対する効果は,殺卵効果(ふ化率の低下)とふ化後の幼虫に対する殺虫効果として認められる。これらの効果は,接種濃度が高いほど高く,また,殺卵効果は産卵後日数が短い卵に対して高い(表1,表2)。
- 幼虫に接種した場合,幼虫期のほか繭期にも死亡が認められる。1,2齢期接種は,3,4齢期接種より幼虫期の死亡率が高い(表3)
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- 野外のポット試験では,若齢幼虫に対し1×108分生子/mlの濃度で接種した場合,幼虫密度を無処理の1/2程度に低下させる効果が認められた(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- イネドロオイムシの昆虫病原糸状菌による防除技術開発に向けた基礎データとなる
- 野外における殺虫効果については,さらに検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
水稲
生物的防除
抵抗性
農薬
防除
薬剤
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