タイトル |
種子内窒素は水稲幼植物の生育を速め苗立ちを向上させる |
担当機関 |
北陸農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
親植物に多量の窒素を施肥して生産した窒素含有量の高い水稲種子から育た幼植物は、窒素含有量の低い種子から育った幼植物に比べて生育が速く、嫌気条件等の苗立ちに対する条件が厳しい環境でも苗立ち率の低下が小さい。
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背景・ねらい |
水稲直播栽培の普及が進まない要因の一つとして苗立ちの不安定さが挙げられる。このため、苗立ち能力に優れた品種の育成、苗立ち能力を低下させない種子保存・調整方法、苗立ちを安定化させる施肥・播種方法などについて研究が行われているが、苗立ち能力の高い種子を生産する方法についての研究は少ない。ここでは、親植物の窒素栄養が種子の苗立ち能力に与える効果について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 種子の窒素含有量の増加に従って、苗立ち能力の指標となる発芽時間が短くなり(図1)
、その生育時間差は発芽~出芽や第4葉抽出においても拡大する。
- 従来苗立ち能力と相関が高いといわれていた種子重は、窒素含有量が著しく高い種子で低下するために、発芽時間との相関が無くなる(図2)。
- 種子の窒素含有量の増加に従って、土中播種における苗立ち率が高くなる(図3)
- 種子内窒素の苗立ち向上効果は、好気的条件等に比べて、嫌気的条件等の苗立ちに対する条件が厳しい環境で特に発揮される(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 苗立ちに優れた種子を生産する種子生産方法の開発に利用できる。なお、苗立ちの良い水稲種子の生産方法として特許出願済みである(特願平9-206410)。
- この結果は窒素以外の条件を揃えた場合に得られた。従って、種子内窒素は苗立ちを左右する一因であることを示すに過ぎず、その主要因かどうかはわからない。
- この成果は、また1品種(どんとこい)の1年間の試験結果をもとにしているため、さらに数年間にわたっての幅広い品種での確認が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
直播栽培
水稲
施肥
播種
品種
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