タイトル |
品質評価に基づく野菜の差別化戦略策定支援手法 |
担当機関 |
新潟県農業総合研究所 |
研究期間 |
1997~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
品質評価に基づく野菜の有利販売に向けた差別化戦略の策定支援手法を開発した。その内容は、AHP分析を利用した野菜購買時の重視度計測、商品のサンプリングデータを用いた重回帰分析による高品質基準の把握、商品をみせる・食べてもらうという官能試験による有意差検定である。
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背景・ねらい |
近年、野菜市場は大きな構造変化の時代を迎え、産地は生き残りをかけた厳しい競争を展開している。こうした状況において産地が求めていることは、自らの特徴・製品力をフルに発揮しライバル産地との差別化を図り、有利販売・有利取引を進めることである。それに対して本情報は、野菜の有利販売に向けた差別化戦略の策定支援手法を提示する。
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成果の内容・特徴 |
- 有利販売に向けた差別化戦略策定の手順は、以下のとおりである。
- 対象品目の品質評価要素を設定する(図)。その際、青果物出荷規格基準や市場関係者、小売店バイヤーなどへの聞き取りを行ない、その意見を参考にする。
- 品質評価を実施する。品質評価手法には、以下の3つの方法がある。
①購買時の重視度測定:設定した品質評価要素を用い、卸売業者、仲卸業者、小売店、消費者を対象にアンケートを実施する。その結果、流通段階における各者の購買時の重視度が計測できる(図)。②高品質基準の解明:産地の出荷時期に市場で競合するライバル産地商品のサンプリングを行なう(表1)。サンプリングは、自分の産地の出荷ピークを実施時期とし、過去の統計データから産地を選定し、それらの産地商品が一定量入荷する市場で行なう。また調査日の市場価格が気象変動等によって大きく変動していないかどうかに注意する。そして、サンプルの品質評価要素を測定し、そのデータを独立変数、当日の市場価格を従属係数に回帰分析を行なうことで価格形成に影響する高品質基準が得られる(表2)。③おいしさの評価測定:性別や年齢など属性の異なるパネラーを対象に自分の産地を基準におき、サンプリングした他の商品と比較する官能試験を行なう。その結果、消費者の外観やおいしさに対する評価がわかる(表3)。
- こうして得た情報をもとに、有利販売に向けた「商品の差別化戦略」が策定できる。
例えばエダマメの場合、従来言われていたボリューム、障害程度、莢色の外観品質だけでなく、香りや味などのおいしさをPRすることが重要である。また、エダマメはおいしさと鮮度の関係が高いことから流通段階における鮮度保持に努める必要がある。
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成果の活用面・留意点 |
- 品質評価を基に自らの特徴・製品力を明確にし、ライバル産地との差別化を意識した販売促進等に生かすことができる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
えだまめ
出荷調整
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