タイトル |
日本なし「幸水」の施設栽培シミュレーション |
担当機関 |
福井県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
理論的な発育速度モデルを応用し、温度と日本なし「幸水」の生態変化の関係を解明し、高精度の開花期、成熟期予測を可能にした。その結果、施設栽培において、作型のシミュレーションができるようになった。
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背景・ねらい |
日本なしの施設栽培において、早期出荷や労働分散のため、被覆加温開始期や温度管理により開花期や成熟期がどのように変化するかを予測することは重要である。本試験では発育予測モデル(杉浦ら,1997)を応用し、温度と日本なし「幸水」の休眠期から成熟期までの生態変化の関係を解明し、施設栽培の作型をシミュレーションすることにより本県での施設作型の方向性を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- シミュレーションに使用したモデルは次のことを表している。果樹の自発休眠覚醒(A期)には低温が必要であり、他発休眠期から開花期にかけて(C期)は高温が有効である。しかし、その自発休眠覚醒から他発休眠期への移行は連続的で、低温域でも高温域でも発育を促す期間(B期)が存在する(表)。
- 過去15年間の露地、被覆栽培、被覆加温栽培および周年被覆栽培の毎正時の気温をモデルに入力し、生育データと照合した結果、開花期については80%以上が±1日以内、成熟期についてはほぼ±3日以内の誤差であり、モデルの正当性が確認され、施設栽培や異常気象年でも精度が高く、実用化が可能と考えられる(図1)。
- シミュレーションによって温暖地域より自発休眠覚醒が早いことから、早期収穫の可能性のあることが認められる(図2)。
- このモデルを用いてシミュレーションすると、本県では被覆加温開始期や温度管理いかんにより5月下旬収穫からの作型選択が可能である(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 地域、作型、異常気象に影響されない日本なし「幸水」の発育予測が可能である。
- 気温の実測値および設定値から施設栽培の作型のシミュレーションが可能である。
- 施設栽培では発育予測に加え、収量・品質の向上、コスト低減の技術が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
温度管理
施設栽培
出荷調整
低コスト
日本なし
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