ダイコンの赤心症の発生と酵素活性との関係

タイトル ダイコンの赤心症の発生と酵素活性との関係
担当機関 石川県農業総合研究センター
研究期間 1997~1998
研究担当者
発行年度 1997
要約 ダイコンの赤心症の発生は、根部のグルコース-6-リン酸脱水素酵素、6-ホスホグルコン酸脱水素酵素等のペントースリン酸系に関与する酵素や、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ等の褐変に関与する酵素が高温ストレスで誘導されることによって助長される。
背景・ねらい ダイコンを盛夏に栽培すると、根身内部が褐変する生理障害‘赤心症’が多発して問題となる。一般に、高等植物は高温ストレスに遭遇すると、通常の糖代謝の補足系であるペントースリン酸系が活性化されることが知られている。この系で生成された中間代謝物は褐変に関与する様々な酵素の作用を受け、褐色物質となり組織内に沈着する。そこで、ダイコンの赤心症がこれら一連の酵素活性の影響を受けているかを明らかにするため、ペントースリン酸系や褐変に関与する酵素活性と赤心症の発生との関係を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 赤心症の発生は生育中期以降の高地温によって助長され、特に生育後半の高地温が障害程度を増大させる(図1)。
  2. 高地温によって赤心症の発生が助長された場合、根部ではペントースリン酸系に関与するグルコース-6-リン酸脱水素酵素(Glu-6-PDH)、6-ホスホグルコン酸脱水素酵素(6-PGDH)や褐変に関与するフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、ポリフェノールオキシデース(PPO)等の酵素活性が顕著に増大する(表1)。
  3. 赤心症の発生には品種間で差が認められ、「味天下」、「福天下」のように生育後半の高温によって障害発生が顕著に助長される品種と、「祝砲」、「秋みね」、「秋王」のように高温によっても障害発生が助長されない品種がある(図2)。
  4. 赤心症が発生しやすい品種では、高温によってGlu-6-PDH、6-PDGHやPLA、PPO等の酵素が顕著に誘導される。これに対し、赤心症の発生しにくい品種では、高温下でもこれら酵素の活発な誘導は行なわれない(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. ペントースリン酸系の酵素活性とアスコリビン酸含量や褐変に関与する酵素活性とイソチアシアネート含量の相互関係を検討する必要がある。
図表1 214254-1.gif
図表2 214254-2.gif
図表3 214254-3.gif
図表4 214254-4.gif
カテゴリ 生理障害 だいこん 品種

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