水稲酒造好適米新品種「雄山錦」

タイトル 水稲酒造好適米新品種「雄山錦」
担当機関 富山県農業技術センター
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 「雄山錦(おやまにしき)」は、富山県では早生の晩で、穂重型の粳種である。「五百万石」よりやや長稈だが倒伏に強く多収である。千粒重が大きく麹の繁殖に適した心白発現も良く、大吟醸酒などを造るための高度精白が可能な酒造好適米品種である。
背景・ねらい 富山県で作付けされている酒米用品種は、そのほとんどが「五百万石」で、県内では1,210ha(平成10年)作付けされている。「五百万石」は品質や収量性が不十分で、多肥にすると倒伏しやすいなど栽培の難しい品種とされている。一方、県内の酒造業者からは普通酒を作る時の「五百万石」は使い易いが、吟醸酒を造る際には高度精白等に難があると指摘されている。このため、多収で大吟醸酒を造ることが出来る新しい酒米品種の育成が要望されていた。
成果の内容・特徴
  1. 「雄山錦」は昭和61年に当試験場において、岐阜県の奨励品種で、大粒の酒米である「ひだほまれ」を母とし、「秋田酒33号」を父として交配した後代から育成された系統である。
  2. 平成8年より「富山酒45号」の地方番号を付け、酒造会社による試験醸造に合わせて、分析や官能評価を行ったところ有望との評価を得た。そこで、平成10年10月に「雄山錦」と命名し、今後本県の酒米奨励品種として普及を図る予定である。現在、種苗登録出願中である。
  3. 「五百万石」に比べ出穂期で2~3日、成熟期で3~4日遅い早生の晩粳種である。草型は穂重型で、稈は「五百万石」より2~3cm長いが太く耐倒伏性は強い。穂数は少なめだが多収で、玄米千粒重は「五百万石」より大きく、心白発現は良い。見かけの玄米品質は良く、玄米の蛋白質含率は低い。50%搗精時における砕米の発生率も少なく、大吟醸酒用としても可能である。
  4. 穂発芽性は「五百万石」よりやや易である。いもち病の真性抵抗性遺伝子型は、Pi-a、Pi-iを保有しているものと推定され、葉いもち、穂いもち耐病性は「五百万石」並である(表1)。
  5. 醸造米の70%搗精時での分析では、無効搗精が少なく、吸水性、消化性は「五百万石」と「山田錦」の中間となった。粗蛋白、カリの成分値は、「山田錦」に近い値となった(表2)。
    また、官能評価は新酒時で吸水が速く、破精込みが良く濃醇なタイプに仕上がり、熟成時でも好評である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象地域は富山県下の酒米生産地である。
  2. 耐倒伏性は高いが、多肥で青未熟粒が多くなるので施肥量は「五百万石」並みとする。また、刈り遅れると胴割れや穂発芽で品質を落としやすいので、適期刈取に努める。
図表1 214278-1.gif
図表2 214278-2.gif
カテゴリ いもち病 酒造好適米 新品種 水稲 施肥 抵抗性遺伝子 繁殖性改善 品種

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