タイトル |
チューリップに発生する2種類のポティウィルスのRT−PCR法による同時検出技術 |
担当機関 |
富山県農業技術センタ- |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
RT-PCR法を利用して、設計したプライマーによってチューリップがTBV(チューリップモザイクウイルス)とTBVユリ系のどちらかに感染しているかを診断できる。本プライマーを用いるとTBVとTBVユリ系を同時検出することができ、本法でユリからも検出可能である。
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背景・ねらい |
従来、チューリップからのウイルス検出は抗血清を用いるELISA法などによることが多かったが、これには抗血清精製の作業を必要とし、非特異反応が起こることも多い。また、2種類のウイルスを検出するには2種類の抗血清が必要である。そこで、簡便かつ高感度で非特異反応の少ないチューリップモザイク病の診断法としてPCR法を利用した同時検出法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 逆転写反応 ウイルス粗汁液
(RT)反応用バッファー 30℃・30分間→42℃・15分間→ dNTP(5μmol)95℃・5分→4℃・5分間の順で行う。 逆転写用プライマー(50pg) 逆転写酵素(100U) PCRの条件上記反応液 95℃・1分 上流用プライマー(50pg) 55℃・2分33回繰り返す Taqポリメラーゼ(1U) 72℃・2分 プライマーは逆転写・リバースプライマーとしてN819b 、フォーワードプライマーとして B1、N310fの3種類(図1)で、B1-N819b組み合わせによりTBVユリ系が約370bpの大きさのバンドとして検出され、N310f-N819bの組み合わせによりTBVが約500bpバンドとして検出される(図2レーン13、14)。また、上流用プライマーB1とN310fを同時に加え、PCRを行うことにより、TBVとTBVユリ系の同時検出が可能である(図2レーン3)。
- チューリップの葉、球根、花弁の粗汁液(葉と等量の0.1Mトリス-チオグリコール酸(pH9.0)で抽出)から検出可能で、ウイルス純化・除タンパクなどの前処理を必要とせず作業が簡便である。
- このRT-PCR法を用い自然発病株55株からの検出診断を行った結果、混合感染株が3株、TBVユリ系のみに感染している株は1株あった(図2)。
- 本法はユリからもウイルス検出が可能である(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本検出法は高感度なので、弱毒ウイルスの選抜、増殖に使用するウイルスフリー株の検定と弱毒ウイルス感染の有無、またウイルスの増殖程度を生育の初期段階(ウイルスの増殖量が少ない段階)で検出できる。
- 東北農業試験場と共同で特許出願中。出願番号は平成10年特許願第289687号
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
チューリップ
ゆり
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