タイトル |
チューリップ球根腐敗病抵抗性の簡易検定法 |
担当機関 |
富山県農業技術センター |
研究期間 |
1998~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
チューリップ各品種の小球根を病原菌胞子懸濁液に浸漬後、小型バットに植え付け、ガラス室で無加温栽培し、翌春、掘り取り時と貯蔵時の2時期に発病球率を調査することで、球根腐敗病の抵抗性の強弱を判定できる。
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背景・ねらい |
チューリップ球根腐敗病(病原菌:Fusarium oxysporum f. sp. tulipae)は、生育中や貯蔵中および流通過程で球根を腐らせ防除困難な病害である。本病は品種間で発病の差が著しいことが経験的に知られているが、品種数が多数あることと、品種の変遷が著しいことから、現在流通しているチューリップ品種の本病抵抗性の強弱は一部しか明らかにされておらず、営農対策上問題となっている。抵抗性検定を行う場合、圃場試験は面積等の制約から供試品種数が限られる。そこで育種上も利用可能なガラス室内規模の本病の簡易抵抗性検定法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 本検定法では出荷球または養成球のような大球でなく、小球根(球周6~7cm位)を使用する。
- PS液体培地で28℃、7~14日振盪培養した病原菌を、遠心分離法で集めて5x105cfu/mlの濃度の胞子懸濁液を作製する。これに小球根を15分浸漬後、直ちに風乾する(図1)。
自然土(山土、バ-ク堆肥、化成肥料混合)をつめた小型ポット(27x32x14cm、1区35球)に植え付け、無加温の温室で管理する(図1)。
- 被検定品種の対照としてハルクロ(抵抗性最強)、キャシニ-(同強)、ラッキ-ス トライク(同中)、パレ-ド(同弱)およびメリ-ウィド-(同最弱)を加える。
- 栽培中は発病調査を行なわず、掘り取り時と貯蔵時(室温)に腐敗球率を調査する (図2)。
- 本法による結果は大球による圃場試験結果と一致する(デ-タ省略)。また発病球率 が高い品種(抵抗性:弱と判定)から低い品種(同:強と判定)まで連続的に現れるが、対照品種の発病球率との比較から抵抗性の強弱を類推できる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 植え付けは11~12月に行う。これ以降の植え付けは球根の品質が劣化して、判定結果に影響することがある。
- 植え付け時期が12月中下旬になった場合は、年内中は15℃程度に加温すると発病が安定する。
- 植え付け時期および温度管理等は北陸地域の気象条件を元にしているので、他地域ではこれを考慮に入れて修正する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
育種
温度管理
簡易検定法
出荷調整
チューリップ
抵抗性
抵抗性検定
品種
防除
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