タイトル |
砂質浅耕土水田における塩化カリウムの施用と水稲の施肥窒素利用率 |
担当機関 |
富山県農業技術センター |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
砂質浅耕土水田では、基肥として全層施用した窒素の水稲による利用率は、塩化カリウムの施用で低下するが、リン酸カリウムの施用では影響されない。また、水稲の窒素吸収力の大きい穂肥時期では、塩化カリウムの窒素利用率への影響は認められない。
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背景・ねらい |
近年、環境に配慮した低投入型生産技術の確立が求められており、窒素の利用率向上や食味への配慮から窒素の減肥が進められている。今後は、リン酸やカリウムの減肥の検討が必要であり、そのための根拠が必要となる。中粗粒質灰色低地土水田は、CECが小さいため、陽イオンであるアンモニア態窒素も拡散と水の流れに伴って容易に移動し、リン酸やカリウムなどの共存イオンも窒素の土壌中での移動を規制する。そこで、施肥窒素利用率に及ぼすリン酸やカリウムの影響を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 無肥料区に設置した枠内に、基肥として重窒素標識硫安(窒素として4kg/10a相当量)を全層施用した場合の窒素の水稲(コシヒカリ)による利用率は、塩化カリウムの施用によって低下する(図1)。
- リン酸カリウムの基肥窒素利用率に及ぼす影響は少なく
- (図1,図2)、
カリウムの形態がリン酸カリウムの場合は、基肥窒素の利用率を低下させない。
- 穂肥として塩化カリウムを表面施用することによって、同時に施用した肥料由来の無機態窒素の表層(0~1cm)の残存率は低下するが(図3)、
窒素の吸収力の大きい穂肥時期では、塩化カリウム施用による窒素利用率の低下は認められない(表)。
- CECが10me/100g以下と小さくて、保肥力が弱く、減水深が1cm/日以上の水田において、塩化カリウムの多施用は、全層施用した窒素の溶脱を促進し、水稲による利用率低下を招くおそれがある。
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成果の活用面・留意点 |
- CECが小さく、減水深が大きい砂質浅耕土水田における、低投入生産技術の確立のための基礎資料とする。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
カリウム施用
水田
水稲
施肥
良食味
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