タイトル |
気象データによる水田の地温推定法を利用した土壌窒素発現の推定と適応性 |
担当機関 |
新潟県農業総合研究所 |
研究期間 |
1984~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
水田における各栽培年次の土壌窒素発現は、アメダスデータ等の気象データと水稲の葉面積指数による地温推定法を用いて推定できる。
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背景・ねらい |
各栽培年次における水稲生育と米の収量・品質は、主に気温と日射量に支配される稲生育パターンと、地温によって影響をうける土壌窒素発現パターンとがずれることによって変動すると考えられる。一方、地域において産米の高品質、安定生産を目指した肥培管理や作柄予測を行うためには、アメダスデータ等の気象データから正確に土壌窒素発現パターンを推定する必要がある。そこで気象データによる水田地温の簡易推定法を用いて、栽培年次毎の土壌窒素発現パターンを推定する方法とその適応性を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 肥培管理が毎年一定の水田での圃場インキュベーションによる土壌窒素発現量は、有効積算地温からみると栽培年次に関わらず一定の関数関係にある。また、圃場と室内のインキュベーションによる発現量はほぼ一致する(図1、図2)。
(式1)N圃場 Y1=0.0047X1+0.1986 (R2=0.878) (式2)T圃場 Y2=0.0068X1+0.9459 (R2=0.921) Y1,Y2:土壌窒素発現量(Nmg/100g乾土) X1,X2:有効積算地温(℃;深さ5cm,15℃以上の積算)
- 地温の推定には、気温・湿度・日射量と水稲の葉面積指数(LAI)を用いる水・地温の簡易推定法(高見ら1989、伊藤1994)を利用する(図3)。
- 推定有効積算地温による土壌窒素発現量の推定値と実測値は相関が高いが、生育後半には予測値がやや過大評価される傾向がある(図4)。
- この方式によって、水田の土壌窒素発現量は、気温・湿度・日射量と水稲のLAIを用いて推定できる。また、室内培養試験で土壌窒素発現量と地温との関係が関数化されていれば、圃場インキュベーションを行わなくても土壌窒素の発現を推定できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 稲体生育パターンと土壌窒素発現パターンを考慮した肥培管理技術に応用できる。
- 推定には室内インキュベーションのデータが必要である。
- 地温の推定には灌水や漏水等による熱輸送は考慮していないため、土壌タイプ等によりパラメータを変更する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
水田
水稲
肥培管理
輸送
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