中山間地域におけるアサツキ・クサソテツの栽培新技術を取り入れた経営改善効果

タイトル 中山間地域におけるアサツキ・クサソテツの栽培新技術を取り入れた経営改善効果
担当機関 富山県農業技術センター
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 アサツキ種球生産の施肥法及びクサソテツの苗増殖・省力化を取り入れた技術改善による作型の選択により、経営規模の拡大が可能となり、現行に比べて労働時間削減と所得向上効果が期待できる。
背景・ねらい 中山間地域の農業経営は、平坦地域に比べ農業所得額が低く、高齢化と担い手不足が急速に進展している。そこで、現地実証地域を対象に、山菜栽培に関して開発された新技術の改善効果を検証するとともに、これらの技術を導入して高収益で省力化を柱とした三つの営農モデルを作成し、経営改善効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. アサツキに関する新技術(施肥改善により、約1.4倍の増収効果)を検証したところ、売上高から変動費を差し引いた利益係数は、12月下旬出荷で現行に比べ 4.9万円/a増加する(表1)。
  2. クサソテツに関する新技術(胞子利用による苗の生産技術により山からの採取不要)を検証したところ、生産1年目の種苗採取作業が軽減されるだけでなく、2年目からは、胞子採取作業等も軽減されるため、年間労働時間は1月中旬の促成作型33.2hr/aと、現行より大幅に削減される(表2)。
  3. 対象とする経営は、標高500mに位置し、水稲1.4ha、アサツキ0.25ha、クサソテツ0.1haを作付する任意の生産組織である。本モデルは、営農技術体系評価・計画システム(南石1998)を用いて作成した。
  4. アサツキ・クサソテツは収量や市場価格の年次変動が大きいことから、安定した所得が得られる出荷時期を選択(モデル2)する場合、アサツキでは、12月下旬及び1月中旬の出荷、クサソテツは2月中旬及び3月上・下旬の出荷が有利となる。
     一方、所得率は低くても売上の高い出荷時期を選択(モデル3)する場合、アサツキでは12月下旬、1月中旬及び2月下旬の出荷が有利となり、クサソテツでは1月下旬及び3月上・下旬の出荷が有利となる(表3、表4)。
     以上、現行の生産・出荷体系に新技術を導入した場合の試算値モデル1は、現行に比べ、所得が24.1万円向上し、かつ年間労働時間が 424hr削減される。また、アサツキの利益係数の向上やクサソテツの省力化による経営規模の拡大が可能となる、モデル2では約250万円、モデル3では、約300万円の所得向上が期待できる(表5、表6)。
成果の活用面・留意点
  1. このモデルは、山菜を栽培する中山間地域の類似した経営に適する。
  2. モデル2及び3を適用する場合、対象とする経営体の発展方向を斟酌し、適用する。
図表1 214307-1.gif
図表2 214307-2.gif
図表3 214307-3.gif
図表4 214307-4.gif
図表5 214307-5.gif
図表6 214307-6.gif
カテゴリ あさつき 経営管理 出荷調整 省力化 施肥 中山間地域

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