水稲のM字型直播の導入による地域営農組織の再編方向

タイトル 水稲のM字型直播の導入による地域営農組織の再編方向
担当機関 石川県農業総合研究センター企画経営部
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 オペレーターの確保が困難な地域営農組織に、機械化一貫体系であるM字型直播を導入することにより、3人で水稲37haの作業が可能となり、オペレーター農家は、水稲春作業の省力化により春野菜等複合部門の導入が可能で所得の拡大ができる。
背景・ねらい 地域農業の担い手不足から、水稲の直播栽培を導入した少人数体制の地域営農組織づくりのための経営支援方法の確立が求められている。このため、M字型直播の導入に伴う地域営農組織再編の方向と、担い手の望ましい経営体モデルを策定する。
成果の内容・特徴
  1. M字型直播を導入した営農組織モデルの提案
    地域営農組織のある45haの集落を想定した(図1)。機械装備は1セットを基本に、オペレーター(以下オペ)数は6人、将来モデルを3人とした(表1)。直播では乗用管理機を用いた営農組織による機械化一貫体系のため、損益分岐点分析の作業料金は5,000円ほど高くなる(表1)。
  2. 省力効果
     直播導入により営農組織の投下労働時間をあまり増やさず個人作業の大幅な省力化が可能であり、個人作業のみの非オペ農家にとってもメリットが大きい(表2)。
     また、ゆとりのある農業を確立するため農繁期に週休1日(旬別作業時間の上限が68.6h)を確保することを前提にオペ農家の経営モデルを作成した。オペ3人で移植ではオペ農家一人当たり7.9haと地域水稲面積37haの79%にあたる29haのオペ活動で限界になるが、直播ではオペ農家一人当たり10ha経営と地区37haの作業が両立可能となる(表3)。
  3. オペレーター農家の経営改善方向
     オペ3人体制にM字型直播を導入すると、機械化一貫体系のメリットにより水稲経営面積10haと野菜との複合経営が可能となり、オペ6人体制の移植5ha経営と比較し所得は拡大する。移植でオペ3人では、オペ活動が十分できず、春野菜も導入不可能であり、所得はあまり増加しない(表3)。また、このとき作業面積の減少から単位面積当たりの作業料金は30,354円(/10a)と高くなり、水稲部門の労働生産性は低い。
  4. 組織の再編方向
    オペが6人確保できる場合、オペ農家と非オペ農家双方にとって移植を選択した方が所得が高くなる(表4)。一方、非オペ農家は直播を選択した方が省力効果は大きい。非オペ農家層の省力化志向が強い地域に対し、6人で直播を導入する場合、オペ農家に対する土地の集積や出役労賃の見直しが図られなければオペ農家にとってメリットがない。
     オペ3人の場合、直播導入によりオペ農家の所得は拡大する。非オペ農家の所得は若干減少するが省力効果が大きい(表4)。
成果の活用面・留意点
  1. 担い手不足や省力化志向の強い組織で、田植え機の更新時に検討すると有効である。
  2. 機械化一貫体系により、複合部門として収益性の高い野菜作の導入が可能である。
  3. 直播による減収程度・米価・地代・奨励品種に配慮する必要がある。
  4. M字型直播の技術については、「北陸農業の新技術 第10号」62~68頁参照。
図表1 214308-1.gif
図表2 214308-2.gif
図表3 214308-3.gif
図表4 214308-4.gif
図表5 214308-5.gif
カテゴリ 機械化 経営管理 経営モデル 直播栽培 省力化 水稲 春作 品種

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